150話、" 俺のやり方 " ページ4
唇を噛み締め、視線だけは煉獄さんの方には向けなかった
向いてしまったら溢れだしそうだから…
そんな意味のない私の抵抗に嫌気を差す溜め息を1つ吐き捨てた煉獄さんは静かに口を開いた
「仕方がない……Aが言いたくないなら " 俺のやり方 " で此処に居る全員に聞いていくしかない、か」
「──ッ!!」
慌てて視線を煉獄さん向ければ、若頭の顔をした煉獄さんがそこに居た
背筋が凍り、震えが走った
急いで煉獄さんの服を掴んだ
絶対に離してはイケない
そう、警告音が鳴り響いた気がした
チラリと視線を静かに待機している部下の人達に向ければ
真顔なのに顔を青ざめてる者──
震え上がり、全力で首を振る者──
神様に祈りを捧げるポーズで懇願する者──
中には涙を堪えている人や、唇を噛み締めて覚悟を決め始める人まで──
十人十色
だが、気持ちはみんな同じで
" 死にたくない──ッ! "
その一心だけは私でもわかった
「──どうした?言いたくなったか?」
「……はぃ…っ」
「なら、まずは……こんな酷いことをしたのは誰だ?」
「ゆ、…っか…りさん、っ!」
「………そうか、うん…いい子だ」
濡れた髪の毛を手で掬い上げ、悲しそうな表情で問い掛けるものだからギュッと胸が苦しくなった
辿々しく名前を口にすれば、満足そうに優しく頭を撫でてくれる
壊れ物を優しく扱う手付きなのに──目は全然笑ってはいなかった
「その時、何か言われたか?」
「………っ、」
言葉に詰まった…
彼女の言い分は納得してしまったから、何とも歯痒い言い訳も思い付かない
チクるなとは言われてないが、そこは暗黙の了解ってヤツで……
私がチクったからと言って私がどうなるか、なんて事はない
困るのは彼女なんだから
でも、それは私の良心が許してくれない
俯く私に前を向くよう促す煉獄さんの指が頬を撫でた
「……わ、…私はっ、煉獄さんの……っ女じゃ、ないって言ったら……笑われて…その、ビールが…っ」
「…………そうか、」
なんだが泣きそうになった
先輩さんに怒鳴られても、確かに怖かったけど
泣くことだけは何とか我慢できた
でも、今はどうだ?
声も震えて、涙が一杯になって今にも溢れ出しそうじゃないか
堪えろっ!堪えなきゃ煉獄さんに迷惑になるじゃないか
そんな私の葛藤も煉獄さんに抱き締められれば簡単に崩壊した
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棗(プロフ) - クロさん» そんな!?勿体ないお言葉…ッ!凄く嬉しいです!これから…だなんて、えへへ〜っ!すみません。ご期待に応えれる作品であれば幸いなのですが、これからもヲタクライフ強火で書ければ…!っと思っておりますので、少しでも楽しんで貰えるよう頑張ります! (2021年12月7日 0時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - ナキサさん» ナキサさんっ!!ありがとうございますっ!ナキサさんにそう言って貰えると嬉しいです!!応援もありがとうございますっ!日々、頑張っていきますっ! (2021年12月7日 0時) (レス) @page46 id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - 私のお気に入りの作品の中で、一番好きな作品です。棗様、いつも楽しいお話をありがとうございます!若様とヲタクな夢主ちゃんのこれからを想像しながら毎日更新されるのを楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2021年12月6日 8時) (レス) @page39 id: 6871d01b79 (このIDを非表示/違反報告)
ナキサ(プロフ) - イケメンな若様、最高ですね〜!夢主ちゃんとの関係値が好きです。応援してます! (2021年12月6日 1時) (レス) @page39 id: 9d3d6315a8 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 梅好きさん» 梅好きさん嬉しい言葉をありがとうございます!優しい世界に泣きそうです!とりあえず、ティッシュをどうぞ…!とても恥ずかしい気持ちで一杯なのですが、そう言って貰えると本当に励みになります!これからも頑張りますで引き続きティッシュ片手に宜しくお願いします! (2021年12月4日 6時) (レス) id: f6f7f83bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棗 | 作成日時:2021年11月28日 1時