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94話、時間泥棒 ページ46

…ポーン


ピン…ポーンッ!



ピンポーン…ッ!


「……?」


気のせいかと思っていたがそうでもなく
ゆっくりと起き上がり、床で寝ていたせいで痛む身体を頑張って動かし玄関へ向かった


「はい…どちら様で?」
「俺だ」
「………はぁあっ!?うそ…ぇ、あ…っうわぁああ〜っ!」
「…大丈夫か?」
「……すみません…っ少しだけ待ってください!」


聞き間違えだと信じたかったけど、そんなことはなく
全力の謝罪と共に洗面台へ走った


──よしっ!ヨダレの跡なし!


真っ先に確認したヨダレの跡
タレてなくても一応は化粧直しを軽くして……髪の毛がひどい!!
全力でそれはもう直しましたとも!
余裕が此処まで仇となるとは…恐ろしい!
今一度、部屋の中を確認したけど…もう諦めよう
ご飯出来てない時点で試合終了さ
せめてものの救いはご飯がちゃんと炊かさってることだけさ…ははっ!


ガチャッ


「お待たせしましたっ!どうぞ!」
「…良いことでもあったのか?」
「人生開き直りが大事だと身に染みまして…それとですね、その…っ大変申し上げ難いのでありますが──」
「…フッ、概ね寝ていたのだろう?」
「!! な、何故にッ!?」


満面の笑みで煉獄さんを迎え入れれば、険しい顔で聞いてくるものだから
明後日の方向を見ながら清々しい気持ちを撫で下ろし、気まずい気持ちのまま謝罪しようとしたら寝ていたことがバレた

まさかヨダレの痕跡が気づかないところに──

っと焦って口元を隠したが、楽しそうに笑う煉獄さんに頭を撫でられた


「ここ最近、随分と仕事が遅かったみたいだからな」
「…はい、…って!?何でそれを…ッ!??」
「気になるか?」
「……いぇ、今ので察しました。」


本当にこの人に掛かれば、私の情報なんて筒抜けなんだろうなぁ〜
って改めて思う度に、恐怖を通り越して冷静になれる
逆に何が知らないのか、気になるぐらいだ


寧ろ言い訳しなくて済む分、楽だな──。


なんて色々と終わってる事を思いつつ、煉獄さんを私の楽園へ入れた


「…ほぉ!これは驚いた!見違えるほど綺麗になったな!」
「これこそが本来の在るべき姿ですよ!」


やれば出来る子代表の私に掛かれば、これぐらい当然だ!って顔でドヤった
っというより思った以上に驚く煉獄さんの反応が若干気になりましたけどね、えぇ…。

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作者名: | 作成日時:2021年11月5日 0時

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