5話 *真希 ページ5
「えっ。でら..れるの」
粉々になったドアはじきに風に飛ばされるだろう。それほどまでに部屋のあちこちを一瞬で壊したのだ。「どうしよう。どうしよう、どうしよう！」震えが止まらない。西●カナばりだ。
こ、これは逃げた方がいいよね？
目の前の粉々になった扉と壁を見やる。
壁が全て無くなったので、ｽｰｽｰと通り抜けていく音がして、
ふと空を軽く見上げれば快晴で、窓越しの太陽ではない日はとても綺麗だ。
.
そんな余韻に浸っていると城内を誰かが駆け巡る音が聞こえてきた。近い。ここからだと約数十メートル先からだろうか。
「はぁ。」
とため息をつきながらトラに尋ねる。
「これって城内を走って逃げた方がいい？それとも飛ぶ？」
躊躇いもなく言葉が紡がれる。
それに、便乗しているかの様にトラが一つ「クゥ！」と鳴いた。
.
「ん？外？」
私の着ている服を破れない程度で外の方に引っ張る子トラの頭を撫でようとした途端。指に付いていたリングを舐められた。
「指輪...。」
そういえばさっき、この子が出てきたのは箱と指輪を合わせた時。
それも゛中の動物を見たい！゛と願った瞬間だ。
だが、この子には指輪の先を入れられる様な穴は見当たらず、風に揺られて鬣がなびくだけだ。
.
ああっ！落ち着け。また最初からだ。
まず私はこの子を出すために願いながら穴に指輪の先を入れた。
そしてこの子が出てきて咆哮で壁を壊し今に至る。
.
ん？まてよ...願った？もしも。もしも、意思を持つことで起きたことだとしたら？
゛入れるのではなく、この子を動かす鍵が願うことだとしたら？゛
「ふふっ。そういうこと！これはやるっきゃないか」
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作者名：真希maki×リオチャコ x他1人 | 作者ホームページ：orz
作成日時：2015年5月16日 20時
