vanilla sky

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Yoohei side
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アルバムを引っ提げたツアーの東京公演の最中、
Aちゃんによく似た子が目に入った。




…え、もしかして来てくれてるの？




人に埋もれながらも音に乗って体を揺らす姿を
凝視しているとバチッと目が合って

丁度サビの途中だったし気分が良くなって
指を差すようなジェスチャーをすると
そこの一帯から手を振り返される。



アンコール前にステージ横へ捌けると、
まーくんにずっと同じ方向を見ていたことをツッコまれた。



結局、アンコールが終わっても
彼女の正体は断定できないままで
楽屋でも考えっぱなし。




周りがさっきまでのライブについて話す中
腕を組んで考え込む俺を不思議に思ったのか
まーくんが話しかけてきた。






「洋平、どうかした？」


「いや、ちょっと考え事。」


「なんか今日おかしいよ。
ずーっと上手側に寄るし。」


「、、下手にも行ったよー？」





まーくんは全てを見透かしてる感じがして
どうしても妙な間が空いてしまう。






「なに、すっごいタイプな人でもいたの？」






面白そうだと思ったらしいヒロが
冷やかすように聞いてきて、

彼女の正体について考えたいのに
茶化しが入ってまともに整理もできないもどかしさで
落ち着きがなくなってしまう。






「もーただの考え事だから！トイレ行ってくる！」






廊下に出るためだけの嘘をついて
とりあえず一人になることにした。








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