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you side
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「あの、さ、」
顔を上げた拍子に
今日初めてまともに目が合って、
さっきまでの優しい声とは打って変わって
バツの悪そうな声で話し始める。
「ごめん。こっちから連絡先交換した癖に
急に連絡もせずにお店行って。」
…ああ、川上さんも気にしてくれてたんだ。
つまり故意に連絡を途絶えさせた訳じゃないのかな、、?
そう思ったら、さっきまでの重くズシンとした気持ちとは逆に
心の中で強い安堵感を覚えた。
声は今にも震えそうだけど
目付きは真剣で、私の目を見て逸らさない。
「俺、ギター預けてから忙しくなって
予定合わせるどころじゃなくなっちゃって。」
こんなのただの言い訳にしかなんないけど、
だなんて自分を嘲笑うように息を漏らす。
その顔は茶化しているようには全く見えなくて
むしろ何処か切なそうで。
『こちらこそごめんなさい。
確認の連絡入れないでそのままにして。』
「ごめんの一言も送んないで、俺の方が悪いよ。」
『…でも、知れてよかったです。
なんで連絡来ないのかなって不安だったので。』
正直、川上さんも言ってたけど
仕事を言い訳にする人なんて世の中には沢山いるし
いざ言われたところで本当だとは信じ難い。
だけど、お互い謝って和解が済んだ後なのに
川上さんはまだ深刻そうに眉間に皺を寄せていて
その表情に、
仕事が忙しかったって言ってたのを
嘘だなんてとてもじゃないけど思えなかった。
…でも、なんで今謝るの?
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まぬん(プロフ) - こちらこそありがとうございます!頑張ってください!! (2月13日 1時) (レス) id: e77305bd37 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ないです。更新頑張ります! (1月10日 22時) (レス) id: 0868a1dc49 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - いつも楽しみに読んでます!!更新頑張ってください🙇♀️ (1月4日 3時) (レス) id: e77305bd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2023年8月22日 22時