vanilla sky

･ ページ33

you side
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頭に大量のはてなが浮かんだ。



なんで？私、川上さんに返した覚えないけど、、
もしかして盗まれた？！！



驚きと不安でその場に立ち竦んでいると
誰かが話しかけてきた。






「なんか探してるの？」






結構前に、どっかのバンドのボーカルが来たって
自慢してきたあいつだ。






『修理したギターがないんだよね。
まだ返却してないはずなんだけど、、』


「あ、最近あの川上洋平がギター引き取りに来たって
他の子から聞いた！それのこと？」






、、？他の子から返却してもらったの？






『あー、そう。それ。』


「え、、もしかしてAが修理したの？
本人と話したの？」


『うん。フレットが凄い削れてて。』


「えーー、いいな。
うちも川上洋平の接客なら喜んでするのに。」


『じゃあもうあのギターは本人の手に返ってるってこと？』


「うん、そういうこと。」


『そっか、良かった。』






平然を装って会話を済ませたけど
全くもって意味がわからなくて

その日の帰りは足取りが重かった。



直近の出演フェスを調べてみると
2日前に既に出番を終えていて、

このフェスに間に合わせたかったのだとしたら
ギターが無くなっていたことは不思議ではない。



ただ、何の連絡もなしに
いつの間にか返却が済んでいたことに驚いた。





Aちゃんに会えないと意味が無い





そんなことを言われた気がする。



だから連絡先も交換したはずなのに
今じゃなんの音沙汰もない。




店員とお客さん、ファンとバンドマンの関係を
壊さないようにしていたのは私なのに。

目まぐるしい日常の中で
忘れられることなんて当然なのに。




なんで私、こんな落ち込んでんの？




ちょっと友達扱いされたからって
調子に乗りすぎてたんだと思うと
酷く力の抜けた溜息が出た。








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