vanilla sky

･ ページ4

you side
_







それから少し経ったある日、
睡魔と戦いながら閉店時間まで店番をしていた。



遅い時間までやっていて助かるなんていうお客さんの声もあって
少し閉店時間を遅くしているのに今日は誰も来ない。



店内も狭いし、営業も小規模だから
だいたい店の中に店員は1人か2人で足りると店長は言う。



特に遅い時間はワンオペが多くて、
話し相手もいないからついつい眠くなってしまう。





なにかしていないと寝ちゃう気がして、
いつも自分で持ってきているギターをケースから出して
店内に置かれているソファに深く座る。

とにかく重たい目蓋をどうにかするために
適当に弦を爪弾く。



少しギターに集中し始めたところで
睡魔の波は治まってきていた。





でも、眠くなくなったとはいえ
閉店までの時間は少ししか縮まっていない。



もう帰ってお風呂入って寝たいよ、、

頭の中で駄々を捏ねていたら
入口のドアが開く音がして、その方向を見れば
切れ長な瞳と目が合った。






「ちょうど近くで用事あったから来ちゃった。笑」






まさかのまさか、
川上さんがまた来てくれた。



急な川上さんの来店に
ぼんやりとしていた頭を強制的にフル稼働させる。






『そうなんですね、お久しぶりです。』






ああ、もう、、



お客さんが来れば目が覚めるかななんて思っていたけど
覚めきらない頭を使いこなして接客するのは
思っていた以上に難しいし

その相手が川上さんなら尚更で。



変なこと言っちゃわないようにしなきゃ。
それだけは最低限意識しよう。






『まだ閉めるまで時間あるので、ゆっくりして下さい。』







_

･→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す