vanilla sky

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you side
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「この前----のボーカルが来てさー。」


『え、ほんとに？すごいね。』


「試奏で生演奏聴けちゃった笑」


『いいなー、羨ましい。』






季節は春に移って暖かくなってきた頃。



同じお店で働く同僚に変な自慢話を聞かされて、
川上さんが長いことここに来ていないことを
思い出してしまった。






「Aは誰か来たことないの？」


『んー、無いかな。
インディーズのバンドマンっぽい人なら
沢山来るけどね笑』


「ここら辺はバンドマンだらけだもんね。笑」






無いかな、なんてそれは嘘だけどね。



川上洋平が来たなんて言ったら
同僚の自慢話の腰を折ることになるし
なんか自分だけの秘密にしておきたかったから
言いたい気持ちをあえてグッと我慢した。




にしても、あの自慢話のせいで
また思い出しちゃったよ。



川上さんが明らかにこのお店に来なくなってから
密かに来ないかな、なんて期待をまだしてしまっている。



我ながら気持ち悪いとは思うけど、
川上さんと話してると

普段は会場を沸かすロッカーの
素性を生で見れてる気がして楽しいし。




でもやっぱり身バレしたら来ないよなー。
当たり前だよねー。




しょうがないかなって思いかけたけど、
最後に会った日の川上さんの言葉をふと思い出した。




またお店行きたい、って、
言ってませんでしたっけ、、？




私のギターが聴いてみたいとかなんとか
言ってましたよね？



まあお喋りな川上さんのことだから
ついポロッと出ちゃっただけかもだし。



アルバムリリースでメディア露出も増えて
それにツアーも始まりそうで忙しい頃ですよね。




そうやって、
最近川上さんが来なくなった理由を
勝手に都合のいいように考えた。







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