初めての戦闘 真白 里桜 ページ15
・
武器屋を出たあたしは、またふらふらと当てもなく歩き出した。
気力がないから、地図を作ったりもせずに彷徨い歩いていると、
──────ドオオォォン!!
少し離れた所から、ものすごい轟音。
「何事!?」
音の方向へ、反射的に猛ダッシュした。周囲の景色が、猛烈なスピードで過ぎていく。
…………なんか猫、というかチーター並に足が速くなってる気がするけど、今はちょっと置いといて。
音がしたらしき所へ着くと、間の抜けた声が響いた。
「うーし、こんなもんか?」
目を凝らすと、土煙の向こうに人影…………と、犬?が見える。
うーん、犬を連れてる人は知らないし、シルエット的に見覚えがない。どうやら、知らない人のようだ。
もう少し目を凝らしてみる。
土煙めっちゃ邪魔だなー、早く晴れないかなー、なんて思ってると、
「…………!」
人影が、すり足で素早く振り向いた。と同時に、軽く構えをとる。
あ! この動き、間違いない────!
「ああ、敵かと思ったら、第三村人かな?」
どうやら、さっきの間の抜けた声の主は、この人のようだ。
…………ていうか、あたし何故に村人なの。猫の耳してる人間が村人ポジな訳ない(と、あたしは思う)。
「あたしは村人じゃないな〜。そこ、ちょっと不満ですね。改善を要求します。
それと、その足裁き、
──────空手、ですね?」
人影は、楽しそうに答えた。
「ご名答! 古武術と合気道もやってるよ」
あたしは、ニコリと笑って返す。
「そりゃすごい。いったい習得に何年かかったのでしょうね」
「お褒めにあずかり光栄だね」
「もしかして、級からいきなり初段に上がる道場ですか?」
「なんで?」
「あたしみたいな十級からある道場じゃ、10年やって二段が限度ですもの」
一見楽しそうに喋っているが、実際は見えない火花がパチパチと散っている。半分、挑発のし合いと化した場を、とっくに薄くなった土煙が取り巻く。
あたしは、名前も知らない相手に向かって、ニコリと笑んだ。
「よかったら、一試合お相手願えます? もちろん空手オンリーで。ルールは、
・寸止め
・下段無し
・掌底・首を狙う・投げ技・関節技無し
で、いかがかしら?」
「じゃ、それで」
左構えをとって、相手を見据える。体が猫化するのがわかった。
2人の視線が、交錯する。
あたしは、力強く地面を蹴った。
11人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
グランディ(プロフ) - 続編完成しました〜ありがたや (2019年6月16日 15時) (レス) id: 12bfae36c2 (このIDを非表示/違反報告)
澪 -rei-(プロフ) - 更新しました! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 72f8d10893 (このIDを非表示/違反報告)
澪 -rei-(プロフ) - 更新します! (2019年6月16日 13時) (レス) id: 72f8d10893 (このIDを非表示/違反報告)
Na(ナトリウム)(プロフ) - 終わりました! (2019年6月16日 13時) (レス) id: d4cffa305a (このIDを非表示/違反報告)
Na(ナトリウム)(プロフ) - 更新します! (2019年6月16日 12時) (レス) id: d4cffa305a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ