作者達が迷い込む町【小説】

目覚め 崩壊因子 ページ20

「んー……なんだよ全く……」

騒がしい音で目が覚める。金属音、銃声の様な音、大声。
物騒極まる物音たち。戦争でも始まったのだろうか。
眠い目をこすりながら外の様子を見るべく扉に近づく。
……ん？扉？俺の部屋は襖だったはずだが……？
何かがおかしい。寝起きの頭でもそれぐらいは理解できた。逆に言えばそれしかわからないのだが。
ともあれ扉を開けて外の様子を確かめるしかない。暗く視界が悪いがベランダからなら何か見えるだろうか。
そう思い開けた扉の先には見慣れた我が家……ではなく知らない屋敷の廊下だった。

「えぇ……」

思わず困惑の声が漏れる。いくらなんでも意味不明すぎる。
だが。

「ふ、はは……」

気づけば笑っていた。それもそうだろう。あまりに都合が良すぎる。
何十回とした妄想がついに現実になってしまったのだ、これが笑わずにいられるか。
試しに頬をつねる。痛い、夢ではないそうだ。またもや笑いがこみ上がる。

……深呼吸をして冷静になる。冷静に考えればあまり笑っていられる状況でもない。
ここがどこでどんな世界なのか、私はまだ知らない。物騒な世界でなければいいのだが、先ほどの物音のことを考えるとあまり望めない。
とはいえそんな音がしたということは誰かがいるということだ。

「その人に話を聞くしかない、よな……」

気は進まないがこうして考えていても埒が明かない。今は情報が必要だ。

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