作者達が迷い込む町【小説】 (ページ21)

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特別な力崩壊因子ページ21

なるべく足音を立てず警戒しながらしばらく歩くと随分と傷ついたロビーの様な場所にたどり着いた。……誰かいる様だ。
見つからないように様子をうかがう。女性が三人、どっちかわからないのが一人。
気がかりなのは羽が生えてたり獣の耳があったりすることぐらい。十分可笑しいが都合の良い世界ならなんなこともあるのだろうと納得する。

「……私には何もないか……」

頭や背中を触ってみたり手足を眺めてみるがこれといった変化は感じない。
しいて言えば……少し白くなったか？
そんなことを考えていると性別のわからない人が傷ついている場所に掌をかざす。
するとぼろぼろだったロビーは瞬く間に修復され何事もなかったかのような状態に戻った。

「驚いたな……そんな能力？魔法？まであるのか……」

驚きと同時に期待してしまう。私にも何かあるのではないか、と。
期待を胸に少し意識を集中してみる。…………うーん、わからん。
よくあるイメージがわいてくるだとか力を感じるなどといったことは全くない。
期待していた分がっかりではあるが冷静になれば当然のことだった。

「俺みたいなのにそんな特別な力なんて、ねぇ……」

与えられてしまえば世も末だろう。きっとあの人は与えられるべくして与えられた特別な人間なのだろう。
自分にそう言い聞かせロビーの方を見ると移動してしまったのか既に誰もいなかった。

「タイミング、逃したな……」