戦力外通告【呪術廻戦】

高専入学 ページ17

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葛波は一足先に東京に来ていた

五条の言う通り朝一番に家の前に車が来て葛波を迎えに来た

運転手は明るい髪色の女性で比較的話しやすい人だった




｢新田さん運転ありがとうございました｣

｢いえいえ これが仕事なんで！｣




車から降りてペコリと頭を下げた

ニカッと笑う新田

葛波は呪術高専関係者の中で初めて信用できる人が現れたと心底安心した

車のトランクからキャリーケースやリュックを出して新田の後ろを追うように歩く


東京都立呪術高等専門学校

日本に2校しかない呪術教育機関の1校

表向きは宗教系の学校とされている

多くの呪術師が卒業後もここを起点として活動しており教育のみならず任務の斡旋･サポートも行っている

つまり呪術界の要だ




｢東京なのに田舎みたい｣

｢東京も郊外はこんなもんっスよ｣

｢そうなんですか｣




自然豊かな山の中にいくつもの神社や寺院のような建物が並んでいる

やはり呪術に関わる以上どうしてもこうなってしまうらしい

キャリーケースを引くにはやや足場の悪い道を進むと一番大きな建物に辿り着いた

日本らしい古風な造りに葛波は息を飲んだ




｢とりあえず葛波さんには学長のところに行ってもらうっス｣

｢はい｣




和風な見た目とは反して意外とモダンな造りの廊下を歩く

とはいっても重々しい扉は観音開きでどことなく和を連想させる

学長がいる部屋に辿り着くと｢それじゃ｣と行って新田は戻ってしまった

初めての場所で置き去りにされた葛波は動揺しながらも荷物を廊下の端に置いて扉をノックした

人がいない廊下にノック音だけが響く

中から低いドスの効いた声が聞こえた

｢失礼します｣と小さな声で言ってから恐る恐る中に入るとサングラスをしたキツそうな男性がいた





｢く､葛波Aです よろしくお願いします｣





できるだけ失礼な発言をしないように必要最低限の言葉を選んで頭を下げる

ここまで顔が怖い人に出会ったことがない葛波にとって学長である夜蛾は呪霊よりも未知の遭遇だった

夜蛾は怯えた様子の葛波を見てその意外さに呪骸を作る手を止めた


黒髪にスピネルのような瞳を持つ少女は確かに葛波家独自の雰囲気を出している

しかし誇り高い葛波家の人間は例え宗家である加茂家にも頭を下げることはなかった

五条の言う通り彼女は先日まで一般人として生きてきたということが窺えた

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