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迅悠一side
想像していたよりAの様子は安定していた
病院搬送された時は心身共に不安定で治療さえできないほどだったが､かなり強力な安定剤を投与したおかげで何とか難を乗り越えた
本部はAがトラウマを抱えることで隊員として復帰できなくなることを恐れ記憶処理措置をするか検討していた
けれども本人が隊員を続行すると公言した為このまま体調が回復次第ボーダーに復帰することになった
とはいえ前代未聞の事態
迂闊にAを復帰させることはできない
本人は大丈夫と言っているが医師がGOサインを出していない以上退院させることができないのだ
｢わりぃ 忍田さんから電話きた｣
｢うん｣
太刀川さんの携帯が揺れた
おそらくAの件についてだろうと察した太刀川さんは病室を出ていった
必然と残された俺は窓の外を眺めるAを見た
入院して早1週間が経っても頭部には包帯が巻かれ点滴も投与されたまま
ここまで痛々しい姿のAを見るのは初めてだ
きっと春野さんもこんな姿のAを見て､オペレーターを続行することが耐えられなくなってしまったのだろう
春野さんは精神的ダメージが大きく何度もカウンセリングを受けている
それに対してAは帰還直後以降は全く荒れることなく普段と変わらない様子だ
おそらく安定剤の効果は切れているだろうからA自体で抑えているのだろう
その目でどんな惨状を見てきたのだろうか
3日間も1人で黒トリガー使いを相手に対戦し何度死を覚悟したのだろうか
優雅が黒トリガーになった時何を思ったのだろうか
｢ねえ迅さん 私はどこで間違えたの｣
Aの声は震えていた
ベッドのシーツをギュッと掴んで必死に涙を堪えながら俺にそう尋ねた
｢何度考えても分からないの､優雅が死んでからはマイさんを守るために必死だったから｣
3日に及ぶ長い戦いを1人で耐えたAの脳内にあったことは春野さんを守りきることだけだった
優雅が黒トリガーになり彼方さんは行方不明
そんな状態でAまで死んでしまったら春野さんは為す術なく死んでしまう
Aは自分が死ぬよりも春野さんが死ぬことを恐れたのだろう
間違ってなんかいない
むしろ全ての選択肢を正しく選び抜いた
だからAは帰還できた
どんな未来でもAが生きて帰ってくる未来はなかったはずなのに生き抜いたAは何ひとつ間違えていないのだ
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弓月有無％(プロフ) - コメント失礼致します！！描写力が凄くて過去編まで来て思わず悲涙？落涙してしまいました、ストーリーも迚も読みやすく面白かったです！また気が向いたら更新して下さると嬉しいです、他作品も拝読させて頂きます。無理のない程に頑張って下さい是から応援しております (4月27日 20時) (
レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです！！ (2022年10月16日 22時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 更新してくださり本当にありがとうございます！！めちゃくちゃうれしいです涙 (2022年9月27日 19時) (レス) @page33 id: c4a16c735a (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年9月25日 20時) (レス) @page32 id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しく思います。待ってます。 (2022年5月30日 23時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年12月2日 20時
