君のため【ワールドトリガー】

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途中の道で緑川と合流した俺たちは人型近界民を発見した

俺らが到着する前から応戦していた狙撃手(スナイパー)陣は既にポジション取りしている

全隊員共有の通信から本部長が玉狛の連中を援護しろと命令が入った





「どうする？A先輩」





緑川が妃旗に問いかけた

妃旗は軽く首を傾けて悩んでいるような仕草をしているけれどもどうせ考えは決まっている

角が生えた近界民はまだこちらに気付いてないし狙い時ってやつだろう





「ここまで来ちゃったからバトっていいんじゃない？」

「俺も賛成」






アイツを倒せば実質玉狛の援護になる

それに野放しにしておくわけにもいかない





「柚宇さん柚宇さん ヤツの情報ちょうだい
妃旗と米屋と緑川の分も」

『ほ〜い 東さんたちの戦闘記録送るよ
詳しいことは東さんたちに聞いてね』





すぐに映像が送られてきて視野に映る

…なんていうか酷いやられ方だ

緑川が｢あちゃー｣と小さく呟いた


ゴツイ図体してるくせに意外と射撃系

しかも黒トリガーだから性能がいい





「東さん 出水です
妃旗と米屋と緑川も一緒です
角付きと戦るんでサポートお願いします」

『…！分かった
相手の射撃トリガーは性能が段違いだ
射程 威力 弾速 速射性も高い
撃ち合うなら足を止めるなよ』





火力勝負になると厳しい

そう東さんは言った

さらに荒船さんが言うには人型近界民はイーグレットも防ぐレベルのシールドを持っているらしい

ブレードでも張り合えるか不安だし単発で勝負に出るのは厳しいとのこと





「妃旗いるんで多分何とかなります
コイツが旋空10発放つんで」

「おいこら 勝手なこと言うな」





ゲシッと足蹴りを入れられた

実際妃旗の機動力なら人型近界民の速さに勝るとも劣らない

それにさっき冬島隊のオペレーターに連絡してバッグワームを炸裂弾(メテオラ)に変更しているのを聞いた

妃旗は俺が言わなくても陽動をするつもりだったんだろう





「とりあえず間髪入れずに旋空ぶっ放すので東さんと荒船さん援護射撃お願いします」

「だそうでーす」





何気にサラッと恐ろしい発言をする妃旗

普通旋空っていうのは何発も放てるような技ではない

通信越しに東さんの笑い声が聞こえた


米屋と緑川は何故か準備体操を始めている

トリオン体だから正直何の必要性もないけれど気持ち的な問題なのだろう

…コイツら馬鹿だから

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