王者的思想【HQ】

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｢うーん｣と悩んでいると木兎さんが私の手を取ってブンブンと振り回した


…ちょっと痛い





「イタチガール 俺のチーム来いよ！

ポジションはどこがいい！？」


「ちょ… 流石に無理があるって…」


「ネット前以外ならどこでも大丈夫です」


「え！やるの！？！？」





せっかくだし混ぜてもらおうと思って答えると黒尾さんはすごく驚いている


ネットの高さも違うし相手は現役選手だし中学の時はリベロだったからネット前だけは無理


そう伝えると女子だから特別にスパイクとブロックはしなくていいということになった




リベロだったからトスはそれなりに出来るしレシーブは自信がある


私は木兎さんと黒尾さんのチームに混ぜてもらうことになった





「本当に大丈夫？怪我しない？」


「うん 多分なんとかなる」


「やばくなったらすぐ言ってね」





ネット越しに赤葦さんが声を掛けてくれた


２年生で副主将を務めているだけあってすごく頼れる人だ


私が入ったかわりに灰羽くんが抜けた


へばりかけていたから丁度良かったらしい



古森から借りたジャージを脱いで邪魔にならないように壁沿いに置きに行くと黒尾さんが私にボールを投げてきた


私のサーブから始めろということだろう





「成瀬ちゃんってサーブ何だろうね」


「普通にアンダーじゃねーの？」





ブランクもあるしネットの高さも違うしアンダーにするのが妥当なんだろうけどその気分になれなかった


助走距離を取ってボールを乗せた左手を肩の高さまで上げて照準を合わせる



最初のサーブだから挨拶代わりに攻めてもかまわないだろう


久しぶりに強く床を蹴って勢いを殺さないようにボールを打ち付けた






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既に入浴は済ませたというのにまた汗をかいてしまった


２年ぶりにここまで本気で動いたせいか汗が止まることなく流れ続けた



息は上がるし腕は痛いし…


でも久しぶりにすごく楽しかった





「成瀬ちゃん スパイクサーブとジャンフロ使い分けるとか本当に女子なの…？」


「ヘイヘイヘーイ！すげぇな！！！」





試合開始の私のスパイクサーブは自分でも驚くほど見事に決まった


でも決まったのはそれだけ


ネットを越えても男子と比べてスピードもパワーもないからあっさり拾われる


使い物にならなかったからジャンフロに切り替えたらそれなりに上手く張り合えた




やっぱりバレーは自分がする方が楽しい

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