炎柱 ページ9
「右肩を強打しているようだな！ 君はもう動かずに休んでいるといい！」
『え、いえ、私も……っ！』
今しがた自分で応戦していた私が言えたことではないが、この数を一人で相手するのは無茶だ。
揚々と日輪刀を構える金髪の男性を止めようと手を伸ばすが、突然の爆風に視界を遮られる。
目を固く瞑り、風が止んで再度目を開いたとき。
周囲の鬼の気配はなくなり、山には静寂が訪れていた。
「うむ！ 粗方片付いたようだな！」
男性は木霊するような大声でそう言い、こちらを振り返りながら刀を鞘に収める。
その瞬間に垣間見えた、刀に刻まれた「悪鬼滅殺」の四文字。
鱗滝さんが言うには、その文字が刻まれた日輪刀を持っているのは限られた者のみらしい。
まさか、この人……
『柱の方、ですか？』
「如何にも！ 俺は鬼殺隊炎柱、煉獄杏寿��だ！ 君の名はなんと言う？」
『あ……申し遅れました。階級癸、蛍原Aと言います』
「蛍原少女！ いい名前だ！」
煉獄さんは独特な呼び名で私の名前を褒めると、こちらに背を向けてその場にしゃがみこむ。
「その身体では山を下ることも厳しいだろう！ 俺の背中に乗るといい！」
『いや、そんな……柱の方に背負っていただくなんて』
「遠慮するな！ 君一人背負うくらい造作もない！」
『っ！？』
瞬き一つする間もなかった。
気がつけば私は煉獄さんに背負われていて、自分の腕を私の膝下に回した煉獄さんはずんずんと歩を進め始める。
速い……！
『ちょ、本当に大丈夫ですから！ 怪我をしたのは肩ですし、一人で歩けます！』
「その、呼吸もままならない身体でか？」
『っ！』
煉獄さんはこちらに顔を向けてはいないが、鋭く険しい眼差しを感じた。
……見抜かれている。
私が、あれ以上技を出すことができなかったことを。
「あの数の鬼を一人で相手にしたのは実に見事だ！ だが、自分の身を省みないのは感心しないな。一度引いて体勢を立て直すなり、鴉を飛ばして応援を呼ぶなり、君がすべきことは他にもあったはずだ。自分の力を過信しすぎるのは未熟者の証だ。もし俺が通りかからなければ、君は間違いなく力尽きていただろう」
つらつらと並べられた言葉は私の胸に深く突き刺さっていく。
＿＿未熟者。
失敗作と言われたときのように泣き喚きはしないが、悲しいことには変わりない。
悔しさをぐっと押し堪え、煉獄さんの羽織を少しだけ強く握り締める。
『……すみませんでした』
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紅いちご - 続編ですか！！楽しみに待ってますね！ (2021年11月6日 22時) (
レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます！ 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました（語彙力）更新頑張ってください！ (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます！ 本当ですね！ 全然気がつきませんでした……ありがとうございます！ (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年9月22日 15時
