禰豆子 ページ39
炭治郎が禰豆子ちゃんを連れて寝室に向かった後。
居間に残った私は、鱗滝さんに最終選別での出来事を報告をした。
「そうか、異形の鬼を殺ったか」
『はい。炭治郎と、二人で倒しました』
「……ついにな」
『……はい』
パチパチと音を立てて、囲炉裏の炎が揺らめく。
「……A。お前は、凄い子だ。だが、ここからが鬼殺隊としての本番だ」
鱗滝さんは柔らかくそう告げた後、鬼について説明してくれた。
血鬼術という特殊な術を使う、“異能の鬼”。
鬼殺隊としての任務が始まれば、そのような鬼と対峙することも多くなるらしい。
『あの、禰豆子ちゃんは、他の鬼とは違う気がするんですけど……禰豆子ちゃんが長い間眠っていたというのも、血鬼術が関係してるんですか？』
「いや、そうではないな。あれは血鬼術の類いではないだろう。これは憶測だが……禰豆子は人の血肉を喰らう変わりに、眠ることで体力を回復しているのかもしれない」
『そんなことが……』
ありえるのだろうか。
前代未聞の、人を襲わない鬼。
人を食べなくても、生きることができる鬼。
もしかしたら私は、凄い奇跡の場に立ち会っているのかもしれない。
鱗滝さんに促され、炭治郎達が休みに行った寝室へ向かう。
その部屋では、妹を寝かしつけている途中で眠ってしまったのか、炭治郎が禰豆子ちゃんの眠る布団の脇で寝息を立てていた。
『風邪引くよ。炭治郎』
苦笑しながら炭治郎の体に布団を被せると、その横で眠っていた禰豆子ちゃんが桃色の瞳を開く。
「むー」
『あ、ごめん。起こしちゃったかな』
禰豆子ちゃんはむくりと上半身を起こすと、四足歩行でこちらに近づいてくる。
そして、無言で私の顔をじっと見上げてきた。
『……』
「……」
『……えっと、どうしたの？』
「むーう！」
禰豆子ちゃんは私の腹部にぐりぐりと頭を押し付け、そのまま腰に手を回す。
可愛い。甘えてるのかな？
顔を綻ばせながら綺麗な黒髪を撫でると、禰豆子ちゃんは不満そうな声を上げる。
「ううー！」
『え、なに？』
禰豆子ちゃんは私の腰に手を回したまま、ぐいぐいと自分の寝ていた布団へと移動する。
無理矢理私を布団に寝かせると、今度はポンポンと布団越しに私の体を叩いた。
『……もしかして、心配してくれてたの？』
「むー！」
『ふふっ、ありがとうね。禰豆子ちゃん』
私がお礼を述べると、禰豆子ちゃんは満足そうに微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年8月14日 20時) (
レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです！眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです！ここからどういう展開になるのか楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年8月14日 10時
