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態度は弁えて ページ37

「ふざけんじゃねぇ!」

強面の少年が怒鳴り、自分の腕に留まった鴉を振り払う。
そして少年は説明をする二人に近寄り、白髪の女の子の髪を掴み上げた。

「刀だよ刀。今すぐ刀寄越せ。鬼殺隊の刀、色変わりの刀!」

『ちょ……!』

彼を止めようとすると、視界を何か黒いものが遮る。
肩に尖ったものが触れる感触がし、目をやると、私の肩には強面少年の鎹鴉が留まっていた。

「ソコハアーシノ定位置デスゥ!」

「カアアアァァ!」

『あの、そこで喧嘩するのやめてくれる?』

肩の鴉と足元の狐が睨み合う。
そんなこんなで強面の少年を止めに行けずにいると、私の代わりに炭治郎が彼の腕を掴んだ。

「この子から手を離せ。離さないのなら、折る」

「なんだてめぇは?」

『炭治郎……』

「ええぇ、どうしよう!? ねぇ、止めた方がいいのかな? 止めるべき? 俺が止めるべき? 俺死ぬよ!?」

金髪の少年が私の袖を引っ張りながらそう騒ぎ立てる。

騒音が増えた……。

『大丈夫だよ。骨一本折られたところで、死にやしないから』

「やだ何この子!? 可愛い顔して言うこと怖っ!! でもそんな強気なとこもいい! 君、俺と結婚しない!? 頼むよおぉ結婚して俺を守っておくれええぇ!!!」

『……えっと、大丈夫?』

先程まで喧しく騒いでいた狐も鴉も、自分達以上に五月蝿い彼を見て唖然としている。
大人しくなった二匹の頭を一撫でした後、その流れで私の袖を掴む彼を引き離そうとする。

いや、力つっよ。


「お話は済みましたか?」

いつの間にか、炭治郎は本当に強面少年の腕を折り、白髪の女の子を背に守るようにして立っていた。

「アータ、ウチノ主人ガ困ッテルデショ! 早ク離レロデスゥ!」

「カアアァ」

「いだだだだだだっ!!」

私の肩まで昇ってきた狐が腕の上を走り、金髪の彼の手に噛みつく。
それに賛同するように鳴き声を上げる鴉。

(あなた)の主人になった覚えはないからね?

金髪の少年の腕から逃れた私は、右腕を押さえる強面少年の元へ向かう。

『はい。貴方の鎹鴉』

「あぁ!?」

強面少年は鋭い目付きでこちらを睨み付ける。
間違いなく、炭治郎への八つ当たりの念も込められているだろう。

『……何をそこまで焦ってるのかは知らないけどさ』

私はすれ違い際、彼の耳元で囁く。




『私達は最終選別を生き残れた“だけ”。階級は一番下だし、態度は弁えた方がいいと思うよ』

おかえり→←鎹鴉



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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年8月14日 20時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです!眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです!ここからどういう展開になるのか楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年8月14日 10時

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