東を目指して ページ31
顔立ちのよく似た二人の子供が鳥居の下に現れ、最終選別について説明する。
この鬼がいる山で、七日間生き残る。
一見単純で簡単そうだが、この最終選別で何人もの子供たちが命を落としてきた。
油断はできない。
「「それでは、いってらっしゃいませ」」
炭治郎や最終選別に参加する剣士たちと共に、私は忌々しい山の中へと足を踏み入れた。
山に入ると、すぐに藤の花は見えなくなった。
つまり今この瞬間から、いつ、何処から鬼が襲いかかってきてもおかしくない。
周囲に神経を張り巡らしながら、私は並走する炭治郎に向けて声をかける。
『どうする？』
「とにかく、東を目指そうと思う。最も早く朝日が当たる場所に行きたい」
『まぁ、そうなるよね。……っ、炭治郎！』
私が声を張ると炭治郎も薄気味悪い気配に気がついたようで、足を止める。
二人で背中を合わせながら、いつでも戦闘態勢に入れるように日輪刀を構えた。
「……っ！ A上だ！」
『！』
鬼の匂いを嗅ぎ取った炭治郎が叫び、私と炭治郎は地面を蹴って横に避ける。
その瞬間、私達のいた辺りに一体の鬼が飛び降りてくる。
『炭治郎、後ろ！』
「っ！」
また新たな鬼が現れ、炭治郎は背後から襲いかかってきた鬼の攻撃を躱す。
「てめぇ、横取りしようとしてんじゃねぇ！」
「知るか！ お前が失せろ！」
二体の鬼は互いにいがみ合い、仲間割れを始める。
まぁ基本鬼は群れないらしいし、端から仲間では無さそうだけど。
私は二体の鬼に刀を向けたまま、炭治郎の側に寄って耳打ちをする。
『炭治郎は右の鬼をお願い。私は左の鬼を殺るから』
「わかった」
喧嘩が終わったのか、同時にこちらへ飛びかかってくる鬼達。
なんだよ結構仲良しじゃん。
「水の呼吸」
『狐の呼吸』
「＿＿肆ノ型 打ち潮」
『＿＿壱ノ型
狐火は錆兎との鍛練で習得した、水の呼吸 肆ノ型をモチーフにした技だ。
茜と藍の炎を散らしながら、鬼の頸を斬る。
炭治郎の方も上手くいったようで、二体の鬼は同時に頸を落とした。
やった、上手くいった……！
炭治郎は刀を鞘に納めると、灰になりかけている鬼達の元に歩み寄る。
『炭治郎？』
「……成仏してください」
炭治郎はそう言って、二体の鬼に向けて手を合わせる。
……優しいな、炭治郎は。
自分の家族を殺されて尚、鬼を哀れみ、悼むことができるなんて。
私には、到底できないよ。
＿＿先生なら、できたかもしれないけど。
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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年8月14日 20時) (
レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです！眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです！ここからどういう展開になるのか楽しみです！更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年8月14日 10時
