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少女の鬼 ページ28

「そうだ。Aに、紹介したい人がいるんだが……」

『紹介したい人? ……もしかして、前に話してくれた炭治郎の妹さん?』

私がそう聞くと、炭治郎は深く頷いた。


襖を開けて奥の部屋に入ると、そこには布団で眠る少女の姿があった。
初めて見る竹の口枷をつけており、長い睫毛を伏せたまま、小さく胸を上下させている。

彼女からは、間違いなく鬼の気配を感じる。
だけど炭治郎の話では、彼女はまだ一度も人間を食べたことがないんだよね……。

目の前にいるのは確かに鬼のはずなのに、安らかな顔で眠る彼女に対して、嫌悪の感情は浮かんでこない。

炭治郎は少女の傍らに正座すると、彼女の手を優しく握って語りかける。

「禰豆子。彼女がA、錆兎と真菰同様に俺を鍛えてくれた姉弟子だ。明日、一緒に藤襲山の最終選別に行ってくる」

妹を想う、優しい兄。
炭治郎の新たな一面を見ながら、私も炭治郎の横に座り、彼女に声をかける。

『初めまして。蛍原Aです』

……いつか彼女が目を覚ましたら、今度はちゃんと会話ができるといいな。



鱗滝さんのいる部屋に戻ると、鱗滝さんは自分の来ている着物と同じ柄の着物を二着用意していた。

「炭治郎、A」

「『はい』」

私と炭治郎は同時に短い返事をする。

「鍋はうまかったか?」

『はい! とっても!』

「あんなご馳走久しぶりでした!」

「お前達のような食べ盛りは、食った分だけ力も強くなるし、身体も大きくなる。だが、それは鬼も同じだ。……覚えておけ。基本的に鬼の強さは、人を食った数だ」

『……』

「たくさん食べたら、強くなるんですか?」

「そうだ。力は増し、肉体を変化させ、怪しき術を使う者も出てくる」

鱗滝さんは立ち上がり、戸棚を開けて一つのお面を取り出す。
太陽の模様が掘られた狐面を、鱗滝さんは炭治郎へ手渡した。

「厄除の面という。お前を災いから守るように呪い(まじない)をかけておいた」

「厄除の面……もしかして、Aがつけているのも?」

『うん。前に鱗滝さんから貰ったものなんだ』

私はそう答え、頭の横につけている狐面に触れる。

「明日に備えて、今日は早く休むといい。……A。お前には聞きたいことがある」

鱗滝さんは炭治郎を寝室へと促す。
炭治郎は私と鱗滝さんの顔を交互に見つめた後、何かを察したように部屋から出ていった。

向けられた愛情→←決意の現れ



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紅葉いろは(プロフ) - 人見さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)初めての小説でいろいろ不安だったので、プラス寄りの感想が貰えて嬉しいです!更新頑張ります! (2021年8月14日 20時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
人見(プロフ) - 面白かったです!眠っていた、という設定がすごく斬新で面白いです!ここからどういう展開になるのか楽しみです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月14日 18時) (レス) id: 0469953c81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年8月14日 10時

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