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『…俺、は……。』
視線が泳ぐ。次の言葉を皆静かに待っていてくれている。そんな優しさが俺の焦りを掻き立ててゆく。
『……決闘、するとして。どこでするんですか。』
言葉が込み上げるのを飲み込んで、誤魔化すように捻り出した言葉。
…俺のわがままで、周りの人を振り回すのは、それだけはいけない。俺が今、剣を抜く訳にはいかない。
センゴク「…それはもう決められている。パンクハザードだ。」
言葉を飲み込む度に、じわじわと痛みが蓄積される。それは毒のようとも、蛇に締めあげられているようともいえる。苦しい。ただそれだけだった。
『…パンクハザード。』
無理に違う思考にシフトする。
…パンクハザード。たしか元々はDr.ベガパンクの研究所として使用されていた政府の管理下の島で、2年前に実験の失敗による事故で危険区域と化していた場所だ。
そんなところで決闘だなんて、何か裏があるのかとも思うが、単に使える島がそれ以外ないだけかともとれた。仮に人間の住む島で決闘を行えば、非加盟国であれ、政府や海軍が非難されるのは明確だ。
つる「…そんなことより、アンタの本心はなんだい。
確かに口にしたところで、何ら変わることはないだろうけど、言って損することはないと思うよ。」
そう横槍を入れたおつるさんにドキリとする。
…開きかけた口を閉じる。閉じては開ける、その繰り返し。
『………ぁ、えっと
……………………いえ、大丈夫です。』
もう、身内同士で傷つけ合うところは見たくない。それに、勢力の均衡を崩す素にもなる。決闘を行うことによって、戦力を失うのは免れないのだ。
…最悪、どちらかが死ぬということも。
二度と会えなくなる。そう考えるとやはり恐ろしい。俺はまだ、この3人の大将と笑っていたかった。
…でも、ワガママなんて、言っていられないのだ。
『そこまで俺だって、甘ったれてないッス。』
中将の先輩方の視線を返しながら、そう一言告げて俺は一足先に席を立つ。
センゴク「…お前は、どうするんだA。お前の身柄の保証は私にある。引き継ぐか否かの判断は…」
その言葉に手をかけていたドアノブから手を下ろす。
『……引き継いでくれて構いません。その後の判断は新しい元帥に任せればいいかと。
俺は今は円卓でなく海軍に身を置いています。詰まるところ、俺が今忠誠を誓っているのは騎士王でなく、海軍だ。
…全て仰せのままに、マイロード。』
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作者名：みるつき | 作成日時：2022年9月27日 7時
