29歩目 ページ32
胸がドキドキと高鳴って、顔に熱が溜まって、どうしたらいいか分からなくなる。目が合うだけで心がきゅっとなって、笑顔を見ると嬉しくて、悲しい顔をしてるとこっちまで悲しくなる。その人のことば1つで安心して、頑張ろうと思える。
――――――そうか、これが恋なのか。
「蒼、何処見てるのかしら」
「ごめんね、麗。何でもないよ」
危ない。桐島麗にAを見てたことが知られたら被害が及ぶ。今は昼休み。麗から会いに来いとメールされたので会いに来た。
『蒼は1人じゃないよ』
『蒼のことを思ってる人はたくさんいるよ』
思い出すだけで無意識に笑ってしまう。嬉しくてどうにかなりそうだ。自分は1人じゃない。Aが傍にいてくれだけでありのままの自分でいられる。
どうしてこうなってしまったのだろうか。桐島麗に脅されていなければ、拐うなり何なりしてAと少しでも時間を共有したいのに。
でも仕方ない。蒼は大切なAに嫌われたくないのだ。傍にいてもらうために、そのためなら蒼は付き合うことも厭わない。自分がAを守るのだ。優しくて、鈍感で、純粋な、愛しい人を。
「今日の放課後はパフェを食べに行きましょう。美味しいと有名なとこなの」
「うん、分かった。楽しみだね」
薄っぺらい会話だ。どうにかして桐島麗に兄弟のことを教えた人物を突き止めなければいけない。そいつに仕返しをして、こんな薄っぺらい会話と恋人同士の振りを止めさせる。
蒼が目を付けたのはあの女。
「A〜目が王子様を追ってるよ〜バレバレだから隠そうね〜」
「ッ、うるさいモモ!分かってるってば!」
Aと楽しそうに話している天宮桃華。聞くところによるとAと唯一よく話す幼馴染み。見た感じAも彼女には心を開いているようだ。家にいるときよりも少し笑顔が多い。
天宮桃華と話すためには桐島麗をどうにかしなければいけない。なんとか時間を作れたらいいが。あの胡散臭い笑顔を剥いで、裏を暴いてやる。
桐島麗とてきとうな時間を過ごしている間、蒼は天宮桃華と接触するための作戦を考えた。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます!ありますよー!蒼くんの方が高いです!そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ! (2022年3月19日 7時) (レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます!更新頑張りますね!もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ!そこで完結です!夢主くんと蒼くんはどうなるのか!?麗は成敗出来るのか!?モモの正体は!?乞うご期待ですよ! (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年12月28日 1時