28歩目 ページ31
初めて蒼が泣くところを見た。綺麗な空の色をした瞳は潤んでいて、言葉では表せないほど美しかった。
蒼がたくさんのものをもらっていると言うなら、それはAも同じだ。
「僕も、蒼からたくさんもらってるよ。この目の色を好きになることも、家族として歩み寄ってくれたことも、僕は出来なかった。蒼がいたから出来たんだよ。だから僕も、ありがとう」
蒼の瞳からはついに涙が零れた。きっとそれは、今まで溜まっていた寂しさだ。蒼はすごい。小さいときから我慢して、蓋をして。母を亡くしたばかりのAには出来ないことだ。
蒼が本当の心を話してくれた。多分この話は誰にもしたことがないのだろう。話すのにはとても勇気がいるものだ。幻滅した？なんて聞いたほどだから、それも覚悟の上だったのかもしれない。それでも話してくれた蒼は、強い。
「蒼は強いね」
微笑んだ蒼は首を振った。
「兄さんになら、話していいと思って。俺が強いんじゃなくて、兄さんが優しいからだよ」
白くて綺麗な蒼の手が伸びてきた。その手はAの後頭部を覆うとそっと力を込めた。柔軟剤が香る蒼の服。首をくすぐる金色の髪。少し熱い体温。
またもや遅れて抱きしめられていることを認識したAは盛大に赤くなる。
「ごめん。またしばらく、このままでいていい………？」
体を固くしたAは、その声を聞いて少しずつ力を抜いた。あの時と同じように、蒼の背中に手を回す。
「うん。またこうしてほしかったら言ってね」
それからもう１つ。
「蒼は１人じゃないよ。僕も父さんも優香里さんもちゃんといる。蒼ことを思ってる人はたくさんいるよ」
ピクリと反応した蒼はしばらくしてから小さな声で呟いた。
「………ありがとう」
Aは抱きしめられたから気づいていない。蒼の顔が真っ赤に染まり、ドキドキと心臓が鳴っていることに。この音には気付かないでほしいと、蒼は泣きながらに思ったのだった。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
