26歩目 ページ29
目を見開いた蒼と目が合った。そんなに驚くほど、今の自分はひどい顔をしているだろうか。なら尚更見せられない。Aは2階の方を向いた。
「……離して。話なら明日聞くから」
「駄目だよ！今じゃなきゃ……！」
蒼はAを止めるのに必死だ。何を必死になっているのか。家では仲が良い振りをしようという話ならここですればいいのに。
「家では仲良くするよ。でも今は父さん達がいないんだからいいでしょ」
蒼が望んでいる答えを返したはずなのに手を離してくれない。むしろ力を強めた。何故だ。
「何の話？」
その声はAの言葉を非難しているように聞こえて。“あの言葉”をわざわざ言わせようとしているのなら、蒼は酷い人間だ。
「だって…………僕のこと嫌いになったんでしょ！？分かってたよそうなるって！僕が望んでいたことだ！出来るだけ顔を合わせないように努力するから！だから離してよ！……嫌いで、いいから……分かってるから……」
言いたくなかったのに。「嫌い」なんて。言葉にしたら今より心が痛くなることぐらい分かってたのに。物理的なぐらいズキズキと悲鳴をあげている。
「じゃあどうしてそんなに泣きそうなの？」
蒼の声は、それこそ泣きそうだった。驚いて振り返った瞬間、
蒼はAを抱きしめた。
「今日のこと、気にしてなかったら言わないつもりだったけど話すね。だから2階に行かないで。俺は兄さんのこと嫌いになってないよ。今日のことは、ちゃんと理由がある」
聞く、と言うまで離す気はないようだ。でも、それでもいいと思った。そしたら蒼と一緒にいられる。自分の中に生まれた馬鹿馬鹿しい考えに少しだけ笑って、Aは蒼から離れた。
「……分かった、聞くよ」
蒼はありがとうと無理やり笑って言った。二人でソファーに座り蒼の言葉を待つ。
「桐島先輩と付き合うことになったとき、『最近仲良さげなAともう話さないでちょうだい』って言われたんだ。もし仮に話したり目を合わせたりして、俺に被害がくるならいいけど兄さんに被害がきそうで怖かった。桐島先輩みたいなタイプ、兄さんは苦手でしょ？」
その通りだ。つまり蒼はAを守るために無視をしていた。嫌われたなんて思いはAの勘違いということになる。
「ご、ごめん！あのときの僕おかしかったよね！ちゃんと話も聞かないで……」
「ううん。俺も言ってなかったから。ついでにさ、もう１つ聞いてくれる？」
何だろうとAは蒼を見た。蒼は微笑んだ。
「俺が兄さんを嫌いにならない理由だよ」
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
