13歩目 ページ15
『宝石みたいにキラキラしていて、綺麗だなって』
翌日長い前髪をおろして学校にいる間、Aはずっとその言葉が脳内でリピートされていた。あんなこと言われたのは初めてで自然と頬が緩む。
要するに今日はとても機嫌が良かった。なので普段はやらないようなことも自分から言ってやってしまうのは仕方ない。Aは高齢な国語教師が持っていこうとした段ボールを全て運ぶ手伝いを自分から申し出た。
「済まないねぇ。どうにもじじいには重くて」
「いえ、大丈夫です。気になったので」
教材が入っている段ボールはとても重い。４階から職員室のある2階まで運ぶのは腰を痛めてしまうだろう。
その段ボール２つを持ち上げ階段を下りる。上が見えないのは怖いが斜めを見ればなんとかなる。Aは慎重に階段を下りていった。
少し手が疲れてきたが、あともう10段くらい下りれば職員室はすぐそこだ。 大丈夫、いける。Aは段ボールを持ち直した。
「あれ？A先輩？」
聞き覚えのある声。昨日、Aの瞳を宝石のようと褒めた義弟だ。斜めを見ていた目線を上げたが段ボールが視界を邪魔して煌めく顔が見えない。階段に向けていた集中力は完全に蒼に向いていた。
それがいけなかったようだ。
「わっ―――――――――！？」
階段を踏み外したAは盛大に転げ落ちた。幸い頭は打たなかったものの段ボールの中身が散らばってしまった。
「大丈夫！？」
蒼は慌ててAに駆け寄る。転げた音が廊下に響いたのか職員室の先生や生徒まで集まってきた。
「大丈夫だよ。段ボール、当たらなかった？怪我してない？」
蒼は目を見開いた。転んだのはAなのに、蒼の心配をするとは。薄々分かっていたが、兄は優しすぎると蒼は思う。
「してないよ。立てる？」
もちろん、とAは手に力を込めた。ところが、
「いッ！？」
右手首がじんじんと痛みを訴えた。そう言えば転んだのを止めようと右手を付いた気がする。
「痛いの！？保健室行こう！」
言うが早いが蒼は周りの生徒に指示を出し、先生に状況を伝え、Aを保健室に連行した。大丈夫だから、というAの言葉は全て無視された。酷い。
先生によると利き手である右手首は捻挫らしい。しばらく使わずに生活すること、なんて言う無理難題を言われた。いや利き手だしどう考えても無理でしょ、なんて思っていたが。
「任せて」
忘れていたのだ。煌めく笑顔の義弟はハイスペックパーフェクトイケメンなことを。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
