信じない理由 4 ページ5
何だか周りが騒がしい気がして身動きした。男の人の声ばかり聞こえて、お姉ちゃんの声はしない。寝起きのぼやけた思考のままゆっくり起き上がった。
｢おや、起きたようだね｣
｢······ぁ｣
目の前には、赤い髪色をした男の子。
―――――夢じゃないんだ。
喋るケモノも変な誘拐犯も、全部現実なのだと、今ここでようやく理解した。つまりここはボクがお姉ちゃんといた日本じゃないってことだ。お姉ちゃんがよく見ていた漫画にあった『トリップもの』はこんな感じなのかもしれない。
でもボクは、ちゃんと現実を生きているビビりだ。お姉ちゃんがいない、ボク1人の世界で、生きていけるわけが無い。
｢なぁ、オマエ｣
寝かされていたソファの肘置きに、喋るケモノがいた。最初に会った時より随分しおらしいけど、怖いものに変わりはない。
でも、なんか、よく見ると······可愛い、気がする。
｢怖がらせちまって悪かったんだゾ。オレ様はグリム。オマエはなんて言うんだ？｣
｢あ、えっと······A、です｣
｢A、オレ様仲直りしたいんだゾ。怖がらせたの、許してくれるか？｣
きゅるん、とグリムの目がこちらを見ている。喋ってるけど、動物と喋るのは小さい頃から憧れではあったしそこまで怖くない······かもしれない。
｢いいよ｣
グリムの手が伸びてくる。ボクもそっと手を伸ばして、ふにふにの肉球と握手した。
パアッと笑うグリム、可愛い。喋ってるけど、もうそこまで怖くない。炎を吐かなければ大丈夫だ、多分。
｢よし、第一段階クリアだな。よくやった、仔犬｣
ビクッと体を震わせて声がした方を見る。赤い髪色の子の後ろに、9人いる。赤い髪色の子と同じ制服を着てる綺麗な人達が6人と、誘拐犯、白黒の大人、猫を連れたおじさんだ。
こんなに人が集まって、ボク今から何されるんだ！？お姉ちゃんが描いてる漫画みたいな事！？
｢怖がらなくていいんだゾ。あのカラスは誘拐犯じゃないし、アイツらも思ってるほど悪いやつじゃないんだゾ｣
よしよしされるみたいにグリムがボクの手をポンポンした。肉球が気持ちいい。
｢そうですよ！私は誘拐犯じゃな――｣
｢黙っていろクロウリー。お前が喋ると余計萎縮する。ローズハート、頼めるか｣
｢はい｣
誘拐犯(？)が何か言うのを白黒の大人がキッと睨んで止めた。ローズハートと言われた赤い髪色の子は少しだけボクに近付いて、微笑んだ。
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます！続編でやらせていただきますね！お待ちください！ (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い！と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは！コメントありがとうございます！私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました！11日以降にまた覗いてみてください！きっとイラストが載ってますよ！ (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです！！ありがとうございます！！続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします！！！ (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜 冬
| 作成日時：2021年11月21日 23時
