第26話 ページ28
サクヤがいなくなってから、数ヶ月が過ぎた。もうずっと誰もいない、何も無い生活。おかえりと迎えてくれる声も、あたたかな食事もない、昔通りの生活。
出ていってと言ったのは自分だ。だからこの状況は自業自得なのは分かっている。サクヤがいなくて、寂しくて辛いなんて泣く資格は自分にはないのだ。
サクヤは今どうしているんだろう。出ていったけれど、彼にアテはあったのか。自分の状態を見て、アテがないのに出て行ったとしたら謝っても謝りきれない。
会いたい。会いたくない。
もう、どうしたらいいのか分からなかった。
サクヤに対する気持ちを知ってから、この気持ちをどうやったら無くせるのか思いつかなかった。
ピロン
携帯の通知音が響く。何だろう、上司からだろうか。
【inefficiency緊急生配信路上ライブ 5分後】
｢え｣
これはさすがにAも驚いた。
inefficiencyは顔を仮面や動物の面で隠していて、決して素顔を見せないバンドだ。ボーカル、ギター、ドラム、ベース、キーボードの5人で成されている。大人気とまではいかないがテレビにも出ていて、最近かなり名前が知られてきているバンドと言える。
Aが大好きなバンドで、サクヤもよく曲を聴くようになったバンドだ。
顔を見せないバンドなので、今まで生配信や路上ライブなんてしたことがない。それなのに、いきなり何故。
大好きなバンドだ。この廃れてしまった心が少しでも落ち着くかもしれない。Aはサイトを開いて生配信が始まるのを待った。
暗かった画面が明るくなる。そこには半面をつけていて、口は見えるようになっているinefficiencyのメンバー。真ん中に立っているボーカルのSakiは狐の面だ。
［こんばんは、inefficiencyです。いきなり生配信なんてしてびっくりしたかな。すぐにでも伝えたくて、こんなことをしました。･･････やっと完成したんです、inefficiencyの新曲。今日はその新曲だけ歌って、配信を終わりたいと思います］
新曲。inefficiencyが！？どんな曲なのだろう。
［それでは聞いて下さい。―――――『好きで溢れるように』］
inefficiencyにしては珍しいタイトルだ。キーボードの音から始まり、ゆっくりとメロディが進んでいく。
inefficiency初のバラード曲だった。
Sakiが歌う。
偶然が重なっただけ 苦しまないで 誰のせいでもない
歌詞が胸に入ってくる。まるで、家族の死を慰められているようで自然と涙が零れた。
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*-七海-*@めぐ民 - う〜ん…泣ける！もう、今我情緒不安定だからww涙めっちゃ出るんやけどww (2020年8月25日 21時) (
レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» なりましょう！(2人は我らが見てるって事を知らないのだな…) (2020年8月11日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» よし！2人で木になりましょう！！！ (2020年8月9日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» wwwじゃあ、我はその木の枝役に立候補します！！ww (2020年8月9日 22時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» でしょう！？私はめちゃくちゃイケメンな相手にやってるのを見る木の葉役に立候補します！！！ (2020年8月9日 13時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年6月28日 22時
