笑顔を崩さない王子様ほど怖いよね ページ22
エルに案内され、Aとファルはふかふかの椅子に座る。
｢いきなりで悪いけど、君たちには王都の王家別荘に住んでもらいたい｣
｢･･･はい？！｣
理解するのに時間がかかった。冗談かと思ったがエルの顔は至って真面目だ。王家の別荘に、住む。････何故？
｢いちいち森に迎えに行くのは大変だからね。さっきもグオードが出て大変だったらしいから、住んでもらった方が早いかなって｣
｢ハッ！大変だったのはそこまで強くない騎士たちのせいだろ。俺とAだけだったらあんなに面倒なことにはならなかったんだ。だと言うのにどうしてお前たちの都合で移らなければならない？｣
ファルが鼻で笑ってエルを見る。足を組んでいる姿勢も言葉遣いも不敬罪ものだ。
やめて、僕の心臓が持たないよ！！？
だがエルは困ったように笑うだけだった。
｢騎士たちに関してはぐうの音も出ないね。騎士隊長はともかく、騎士たちは自分の位を驕っている者が多いから。私から言っておくよ｣
だが、とエルは話を区切る。
｢言いたいのはそれではないんだ。クルシュからも話があったと思うけれど、私たちは森で爆発的な魔力を感知した。君たちがいる小屋近くの川でだ。グオードでもあの魔力は出せない。それが気になってしまってね｣
｢だから探知スキルで俺たちを見つけたってか？｣
笑顔を崩さず頷いたエルは話を続ける。
｢森はモンスターや下級の魔族が多くて探すのを戸惑ってしまった。やっと会えて嬉しいよ。色々話を聞きたいから、しばらくは森に帰らずここに居てくれないかな？もちろん住む場所ももてなしも一級品だと保証しよう｣
Aは察した。エルは会ってからずっと笑顔を崩していない。そして下手に出ているが、これはお願いではないだろう。つまりは承諾されると分かっているからだ。王子だからか、それとももっと別の何かだろうか。
まあ断った時点で不利な結果になるのは分かっている。思惑がどうであれ、Aたちは従うしかないのだ。
｢ファル｣
名前を呼んだだけで、ファルは全てを察してくれたらしい。はぁ、とため息をついて姿勢を正した。
｢分かった。しばらくはその別荘とやらで大人しくしてやるよ、王子サマ｣
言うと、エルはいっそう笑みを深めた。
｢ありがとう。A、ファル｣
王子様は一体何を考えて笑みを浮かべているのだろうか。権力者の笑顔は怖い、とAは身に刻んだ。
至れり尽くせり過ぎてもう色々やばい→←このままだとファルが不敬罪で捕まりかねない
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埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ！ありがとうございます！転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです！これからも応援よろしくお願いいたします！ (2020年8月2日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください！！楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました（笑）まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします！コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています！ (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年4月15日 6時
