初日で有名人になってしまうとはおそれ多い ページ30
ぱくん、とその火の玉を飲み込んでしまったケモノは目を見開いた。
ボンッと音がしてケモノの体が膨らむ。その巨体が倒れると口から黒い煙が出た。恐らく、胃の中で爆発したのだろう。それからケモノは動かなくなった。
まさしく瞬殺。怪我するまでもなく、火が飛ぶ心配もなく、終わった。
｢さて、薬草を取って帰るか｣
｢うん｣
あまりにも圧倒的すぎて言葉も出なかった。ファルはやはり、とんでもないトカゲなのではないだろうか。
2人で光る薬草を採取して洞窟を抜ける。光る薬草の中でもファルの言ういい薬草を沢山取って、少しは自分たちの分として持って帰った。この薬草はあらゆる病気にも効くらしい。ステータスに書いてあった。
その薬草をギルドに持っていく。
｢依頼をこなしてきた。これでいいんだろ？｣
受付のお姉さんにドンと薬草が入った袋を渡すと、お姉さんは息を飲んで驚愕していた。
｢まっ、まさか本当に、あの洞窟に行って金の薬草を取ってきたのですか！？初心者なのに！？洞窟の主は･･･！？｣
｢倒した｣
端的に答えたファルに周りもどよめく。
｢初心者で？｣｢洞窟の主って言ったらあの大きいやつだよな｣｢今まで誰も成功したことない依頼だぞ｣
そんなヒソヒソ話が聞こえて、周りの人達は興味深そうにAとファルを見る。
これはもしや、いやもしかしなくても、有名人になっちゃったのでは？
｢報酬は住所に書いた場所へ送ってくれ。俺たちは帰る｣
行くぞA。
ファルはAの肩を抱きギルドを出る。外に出て、やっと息が吸えた感じらしいAの髪を撫でた。
｢すまない。予想以上に注目を集めてしまった｣
｢ううん！大丈夫だよ。ファルは凄いね。あんな大きいのも一瞬で倒しちゃうなんて｣
だからこそ、森で会った時にあんなに大怪我を負っていた理由が気になる。主を一瞬で倒せてしまうほど力を持ったファルが、何故。
｢ねぇファル。初めて森で会った時、どうしてあんなに怪我をしていたの？そんなに強い相手だったの？｣
歩く足が止まった。ファルの横顔は何かを考えているようだった。
｢そうだな･･･。隙をつかれて、呪いを受けてしまったんだ。本当の姿になれない呪いだ｣
呪い。そんなものを扱える魔法もあるのか。
｢だが今は、Aのおかげで本当の姿になれるぞ｣
悲しそうな顔をしたAに、大丈夫だと微笑んでファルは歩き出した。Aも隣に並ぶ。
ああ、本当に厄介な"英雄"だったぞ。
ファルは目の端で、ギルドの前に立つ像を睨みつけた。
全然寂しくなんかないんです、マジで→←あわよくばペットにしようと思ってたのに！！
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埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ！ありがとうございます！転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです！これからも応援よろしくお願いいたします！ (2020年8月2日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください！！楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました（笑）まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします！コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています！ (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年4月15日 6時
