18話[☆] ページ37
琉司はため息をついて桜の事を大人しく且つ端的に説明した。まぁ、理由は琉司の姉である羽叶が『早く紹介しろ』と目で訴えて居たからだろう。
「あー…、葉鍵桜だ。姉貴が持ってた写真でかぐや様をやってた奴。顔とか声とか、かぐや様に寄せれる、すげー奴だぞ」
桜からすれば、『葉鍵』という苗字を聞いて何か言ってくるだろうと予測していた。
「っつーか、よくあの写真で女だと思わなかったな」
桜としても、女だと思ったから連れてこられたのかと思っていたのだ。桜と会った時に驚くかと思えば、反応が無かった。つまり、男だと分かっていたことになる。
「まあそこは私の並外れた観察眼が活躍したのだよ!……ってちょっと待って、葉鍵って言った!!??」
ガタッと羽叶が立ち上がる。思わず昔の事を思い出した桜はビクビク震えてしまう。それを見た琉司が桜の背中を優しく叩いた。
「だからいちいちウルセーっつってんだろこの馬鹿姉貴!!座れ!」
羽叶は琉司の言葉など聞いていなかったようだが、苗字が『葉鍵』なのは合っていると分かり「おぅ…」と唸って座った。良かった…と安堵するのもつかの間。
「もしかしてお父さんの名前、葉鍵一優さん?」
思わず桜は顔を上げた。上げないという選択肢もあったが、それをしない程動揺していた。羽叶の口から自分の父の名前が出た事に動揺したのだ。
「何で…!?」
少し声が上擦った。
「やっぱりそうなのね!その苗字でピンときたよ!!」
有名になるのが悪い事だとは言わない。でも、有名になり過ぎるのも問題なのだ。
また羽叶はガタッと立ち上がり、前のめりで桜に顔を近付ける。顔を上げた状態だった桜は声を出せず驚いていた。
「だから驚かすな馬鹿姉貴!桜、場所変わるか?姉貴の向かいにいたらずっとこの調子だぞ」
桜は震えている。だが、桜が頷く前に羽叶が席を移動して桜の手を握った。
「一優さんのデザインは本当に繊細で、それなのに大胆にも見える素晴らしいデザイナーだよ!ファッションセンスもカラーセンスも抜群で、キャラの服装考える時も過去の作品見てかっこいいの学んでるんだよ!服も持ってるよ!一優さんデザインのブランド服!!」
桜は内心、何も父の事を知らぬ人が話すな!と怒っていた。父は夜遅くまで悩みに悩んで決めるのだ。着る人の事を一番に考えて。一番最初に着るモデルさん、その後に着る一般の人。それら全てを考えて作っているのだ。だからこそ、何も知らない人に言われると腹が立つのだ。昔から2人のことをまじかで見ていた桜だからこそ分かること。
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埋夜冬(プロフ) - 桧さん» 返信遅くなりすみません!続編にいくので、引き続き応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2021年9月7日 18時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
桧 - めちゃめちゃ面白いです!!更新楽しみに気長に待ってますね!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり(プロフ) - あおん。さん» コメントありがとうございます!ゆっくりとした更新になりますが、これからも応援の程宜しくお願い致します! (2020年9月28日 13時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - あおん。さん» ありがとうございます!ちまちま更新していきますが、これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年9月28日 8時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
あおん。 - 面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 71950dc544 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2020年3月1日 13時