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15話[♪] ページ30

学校の日が来てしまった。姉の要望通り桜を連れてこなければいけない。そのためには桜を呼び出して逃げないようにそのまま連行するしかない。悪いな桜。

放課後、いつもの様に帰る支度をしている桜の前に立つと顔を上げた桜と目が合った。ついでに周りの会話が止んで、ヒソヒソと耳打ちながらこちらを見る。

どうせ何もしてこないくせに何なんだよ。ウザってぇ。
周りを睨むとビクッと肩を震わせて下を向く奴らがほとんどだった。

「おい。帰る支度終わったらツラ貸せや。荷物持って校舎裏来いよ」

琉司のことを知っている桜は、こんな風に呼び出すってことは何かあるのだろうなと想像がつく。いやもちろん怖いのだが、前より恐怖心はなくなっただろう。
だが周りからすれば不良に目をつけられた陰キャはまだターゲットなのか、可哀想に、という解釈になってしまう。

まぁどうせ何も言ってこないし、今さら学校の奴らと馴染もうとは思わない。桜がいれば、桜さえ俺の事をわかっててくれればいいのだから。

校舎裏で待っているとしばらくして桜が来た。

「あ、あの・・・何か?」

「悪ぃな、学校で呼び出しちまって。お前に逃げられたら俺がやべぇんだわ」

桜は少し身構えた。察するに、『琉司がやばくなることが僕に関係してるってどういうことだ!?』となっているのだろう。

「あー・・・まぁ別にヤベぇことに手ぇ出してるわけじゃねぇから安心しろ」

言うだけじゃ安心できねぇかもしれねーが信じて欲しい。そう琉司が言うと、桜も体の力を抜いた。

「あ、そういえば、昨日の料理美味しかったです。ありがとうございます。豚キムチ丼、大好きなんです」

微笑んでお礼を言った桜の姿が、何故か目に焼き付いた。かぐや様をしているわけではないのに、あの時みたいに胸がきゅっとなる。

「・・・そりゃ良かったよ。あんくらいで良けりゃまた作ってやる」

何だか落ち着かなくて目を逸らす。今の自分は桜にどう映っているのだろうか。出来れば気にしないで貰えるとありがたい。
話を切り替えるために短く深呼吸をする。心を落ち着けて桜を見た。本題に入らなければ。

「いきなりで悪ぃんだけどよ、今日は家に来てほしい。姉貴が、桜に会いたいって言ってんだ」

琉司のお姉さん。桜の脳内で怖い人とインプットされている、あのお姉さんだ。

「つーわけだから行くぞ。逃げんな。姉貴の言葉は絶対だ」

桜の意思はガン無視で腕を掴む。慌てる桜には悪いが、もうこれは決まったことなのだ。

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埋夜冬(プロフ) - 桧さん» 返信遅くなりすみません!続編にいくので、引き続き応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2021年9月7日 18時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃめちゃ面白いです!!更新楽しみに気長に待ってますね!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり(プロフ) - あおん。さん» コメントありがとうございます!ゆっくりとした更新になりますが、これからも応援の程宜しくお願い致します! (2020年9月28日 13時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - あおん。さん» ありがとうございます!ちまちま更新していきますが、これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年9月28日 8時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
あおん。 - 面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 71950dc544 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜 冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1  
作成日時:2020年3月1日 13時

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