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真剣なお付き合い、それぞれの親にパートナーを紹介する。Aと湊は順調に手順を踏んでいた。
あれからすぐに実家のある地方に作家としての情報収集をする機会があった。なので実家に寄ると、それはもう宴会のような騒がしさが広がった。湊が予想以上にイケメンだったのが奥様方のハートを鷲掴みにし、小説家という仕事が珍しく話題になり、湊が良い人なのは完全に伝わった。
それから、何年も湊とAはイチャイチャと平和で甘い日々を送った。
そして、今日は。
この雲1つない晴天の今日は。
「A」
「湊さん!」
2人の、ささやかな結婚式だ。
タキシード姿のお互いを見て照れたようにお互い視線を逸らす。
湊のタキシード姿はまるでモデルのようだ。イケメンは何を着ても似合う。さながら本物の王子のようで、Aはほぅ、と見とれて息を吐いた。
「ふふ、見すぎ。A、似合うね」
「湊さんの方が何倍も素敵だよ」
同性同士でも結婚式を挙げることのできる式場を愛川が調べてくれた。その愛川をはじめ、凛音や嘉川、Aの親戚たち。
そして、今日だけ外出許可をもらった湊の父。呼んだのはAのサプライズで、いると知ったときに湊は涙を流しながら父を抱き締めていた。
愛川は湊の親代わりのように、Aが来るまで湊の面倒を見ていた。なので息子が結婚するかのように時々涙を滲ませて微笑む。
神父様が誓いの言葉を言った。
「新郎、九条湊。あなたは健やかなるときも病めるときも富めるときも貧しいときも時ヶ瀬Aを愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
湊は堂々と宣言した。
「新郎、時ヶ瀬A。あなたは健やかなるときも病めるときも富めるときも貧しいときも九条湊を愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
「誓います」
湊のように堂々と言うと、目が合いはにかんだ。
「それでは指輪の交換を」
湊がプロポーズのときに渡してくれた指輪は、Aの指にぴったり嵌まる。父に会いに行くときに指輪を買いに行ったらしい。湊はAのためならこんなに力が出ることに驚いた。
「では、誓いのキスを」
キスは何度もしているが慣れない。湊を見るといつものように頬を撫でられる。
「愛してる。これからもよろしくね」
「もちろん。俺も、愛してる」
嬉し泣きそうになりながらキスをして、額をくっ付け合い笑った。
拍手が巻き起こる。親は泣いていて、湊とAも少し泣いた。
お互いの指輪が、祝福するように煌めいた。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時