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それから1週間。休日なのでソファーでくつろいでいると、Aの父から電話があった。久しぶりの父からの電話。何かあったのだろうか。
「もしもし」
〔もしもし、A。元気だったか!?就職決まってから全然戻ってこないから寂しいよ〕
Aと父の
「わかった今度帰るから。それで、何かあったの」
〔ああ、そうそう。美智子から聞いたよ。九条さん…だったっけ?〕
Aは小さく息を飲んだ。そうか。父から電話と言ったらそのことしかない。
湊が気付いて心配そうにこちらを見る。口パクで「大丈夫?」と聞いてきた。頷いておいたが、内心心臓が飛び出そうだ。
「うん……」
〔すごかったぞ!美智子が親戚に話したときはそりゃあいろいろ意見が飛び交ってなぁ。そしたら、あの厳しいおばあちゃんがな、「Aのことを一番知っているのは誰だい!?美智子さんだろう!その美智子さんが認めると言ったならあんたたちも認めなさい!」って一喝してなぁ!みーんな何も言えなくなっちゃって〕
興奮気味に話す父だが、どんどんくる事実に目眩がした。そもそも母は認めてくれていたのか。認めてもらえるように話したのか。しかも祖母が味方なのか。
〔だからな、A。負い目や不安を感じなくていいぞ。やりたいことを好きなだけしておいで。お前には覚悟が出来ているんだろう?お前は父さんの子だからな、好きなことには一生懸命なのは父さんが一番分かってる〕
負い目や不安を感じなくていい。それは、つまり。
「親戚の皆もお前と九条さんの関係を認めた。今度家に連れてくることが条件だ。分かったね?」
Aと湊に関係する全ての人が、2人の関係を認めてくれたということ。
周りには、隠さなくてもいいということ。
どれだけ心が軽くなったことか、今は言葉に表しきれない。
父にありがとうと言ってから電話を切る。まだ心配そうにこちらを見る湊に、思い切り抱きついた。
「湊さん、これからもずっと、俺の傍にいてね!」
あまりの嬉しさにぎゅーっと抱く力を強くする。その言葉で湊にも認めてもらえたことが伝わったのだろう。安堵の笑顔を向けて抱き返した。
「もちろん」
少し離れてAと見つめ合った湊は慈しむように触れ、甘く微笑んだ。
「愛してる」
溶けてしまうくらい、優しいキスをした。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時