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42冊目 ページ2

Aの風邪も湊の看病ですっかり治り、また仕事が出来るようになった。
いつも通り朝食を作ってから出版社に行くと、何故か社内はてんやわんやだった。

「おはようございます。迷惑かけてすみません。あの、ところでこの状況は?」

愛川に聞くといきなりガシッと両腕を掴まれた。

「時ヶ瀬くん!ああ良かった!今から嘉川先生がここに来る。君なら知らないわけないよね?」

嘉川先生!?あの有名な!?
読書好きのAにとったらアイドルに会えるような感覚だ。あの先生の小説は素晴らしい。恋愛小説ではストレートな表現で書かれているのに同時にもどかしさを感じ、読者を主人公やヒロインの友達のようなポジションにさせる書き方をしている。Aは何度も嘉川の小説でつい声に出して応援してしまうのだ。

「はい!知ってます!でも、どうして嘉川先生がここに来るんですか?」

「理由を聞く前に電話を切られてしまってね。とりあえずこんな汚い社内には呼べないってことで片付けているんだ」

Aも一緒になって片付けをしてパッと見れば整えられている風な出版社になった。
一先ずこれで大丈夫かな、という雰囲気が出たあたりで「こんにちは」と声が響いた。

「いきなり来て済まないね」

微笑みを浮かべているのは嘉川誠一郎。低いが優しさを感じられる声で、編集者たちは大人気の有名作家様に緊張だ。

「お久しぶりです、嘉川先生。今日はどうしてこちらに?」

愛川が聞くと、嘉川は社内を見直した。

「時ヶ瀬Aさんを探していてね。ここの編集者だろう?」

別段珍しいことではなかった。もともと嘉川はAに会ってみたいと話していたから。

「時ヶ瀬くん、こちらに」

愛川はAを呼び隣に立たせる。Aは自分が呼ばれたことと目の前に有名な作家がいるという事実にガッチガチに緊張している。

「ふむ、君が時ヶ瀬くんだね。私は嘉川誠一郎という」

手を差し出されている。握手だと分かるのに時間が掛かって恐る恐る手を重ねた。

「も、もちろん知ってます!お会いできて光栄です!時ヶ瀬Aと言います!」

緊張で行動がおかしいが嘉川は笑って許してくれた。

「やはり面白い子だね。愛川さん、この子借りていいかな?ぜひ話がしたい」

「ええ、大丈夫ですよ」

嘉川先生と話!?緊張で死んでしまう!一体どこで話すんだろうか。と思っていたらカフェだった。それもかなりおしゃれな。

「では、仲良くお話ししようか」

にこり。
嘉川はコーヒーを片手に微笑んだ。

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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時

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