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14冊目 ページ16

それから5時間が経過した。湊の集中力はすごいもので、コーヒーを置きに書斎に入っても全く見向きもしなかった。パソコンの音だけが辺りに響く空間は、湊の脳内では小説の世界が広がっているのだろう。

特にすることもなくなったAは夕食の下ごしらえをし、持参のノートパソコンで仕事をすることにした。

出版社としての企画案件。九条湊の小説をより多くの人にしってもらうにはどうしたらいいのかについての案件だ。
湊はイケメンだからサイン会でもすればいいのに、と出版社に提案したら断固拒否された。大変なようだ。湊ではなく、マジやだ外行きたくない顔見せない!な湊を落ち着かせる出版社が。

さてどうしたものか。家から出ずにもっと人気になる方法。Aは考えを巡らせる。
そこでふと都会で働いている従兄弟の姿がうかんだ。 彼なら……!

パソコンで打ち込んだ辺りで大人しくドアが開く音がした。一通り打ち終わったんだと信じたい。

「お疲れ様です、九条先生」

ヨロヨロとこちらに向かってくる湊はソファについた瞬間ダイブした。

「もう無理……12枚は描けた……ってかスランプ」

なかなかに死んでいる顔の人はボソボソと呟いた。スランプというわりには締め切り前にはちゃんと完成させてくるが。

「どこら辺ですか?」

「スランプ?デートのとこ。動物園とか行ったことないから分からないし」

ピシャーンとAのを体の中に衝撃が走った。少し感じていたが、湊はいいとこの坊っちゃんじゃないかと。

「行きましょう動物園!」

は?と湊の顔が歪む。外に出たくない無気力ボーイなのだか、動物園に行ってみたいのもまた事実……。

「取材です!作家としてリアルに作品を描くために必要だと習いました!明日行きましょう!」

いつもなら即答で「嫌だ」と答えるところだが、湊が今回そうしなかったのは訳がある。

Aが、わぁぁ!と目を輝かさせているからだ。
動物園なんていつぶりだろうか。水族館も最近行ってないなとAは思う。

そんなAの純粋な姿が可愛くて、湊は返事に躊躇った。
極めつけは。

「行かないんですか……?」

とシュンとなったことだ。「ふふっ、冗談」とAに言うと、またパァァと笑顔になった。
無理だ。可愛すぎて小動物にしか見えない。

「分かりました。明日一緒に行きましょうね。案内その他諸々は俺がやります!」

湊は静かにため息をついた。
まあ、編集者が可愛いからいいか。

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通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます! (2019年8月17日 12時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます!自由に付けてくださって大丈夫ですよ!! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね? (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……!(照)ありがとうございます!ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います!お楽しみに!!☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年4月23日 23時

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