検索窓
今日:4 hit、昨日:11 hit、合計:286,076 hit

13冊目 ページ15

「出会ってから2週間後ぐらいのシーンなんだけど、駄目?というか、やられてどう思った?」

「び、びっくりしました……!!」

今だって心臓がドキドキしているのだ。帰っていきなり股ドンされて驚かない人がいるなら見てみたい。

「他は?」

驚いたのは分かってる。それ以外のことがほしいのだ。湊としてはやられた人の意見が知りたい。

「……言うべきですか…?」

「だっていい作品になるよう手伝ってくれるんでしょ?」

うっ、それを言われると返せない。
言ったのはAなのだ。腹を括って言うしかない。

「いや、あの……」

恥ずかしくて顔が赤くなる。Aは顔を逸らした。

「へ、変な声出ちゃったな、とか……」

いくら圧迫感が強かったとはいえ、男性にあるまじき声だった。
ああ思い出すとますます恥ずかしい!!

「……だ」

「え?」

湊は小さい声で何かを囁いた。目を向けると湊の目が輝いていた。普段あんなに気だるげな目の湊が。

「それだ!今の言葉、今回のシーンに使っていい!?」

「え、あ、はい!どうぞ!」

この人は、小説のことになるとこんなにキラキラした瞳になるんだ。純粋で、透き通った紫色が喜びに溢れている。とても、綺麗だ。

「ちょっと描いてくる!」

いつもの気だるげはどこかへ消えて湊は書斎へ向かう。

「あ」

途中振り返った湊はAに笑いかけた。
眩しいくらいに煌めいていて、美しいとか綺麗とか、そんな言葉で表せない。綺麗な夕焼けを見たときのような、水平線と青空を見たときのような、何とも言えない感情が巡る。

「ありがと、専属編集者さん。Aのおかげだよ」

世界が、止まったような気がした。

息ができないくらい心臓がうるさい。先程のドキドキとはまた違う、もっと甘いような、キュッとなる気持ちだ。

編集者として認められた?プロの中でも大人気作家の湊に?それに、ありがとうって。

「頑張ってくださいね。後でコーヒー持ってきます」

かろうじてそう答えたAは湊が書斎に入った音を聞いてからAは床に突っ伏した。

反則だ。あんなにすてきな笑顔を見せるなんて聞いてない。何あれヤバい!!!と心の中の頂上で叫んだ。

もっとああいう顔をしていればいいのにとも思うが、僕が知ってる分なのでそのままでいてほしいとも思う。

何なんだろう、このキュッてなる感情は。

14冊目→←12冊目(微ピンクかも)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (423 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
670人がお気に入り
設定タグ:BL小説家 , 無気力 , 世話焼き , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます! (2019年8月17日 12時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます!自由に付けてくださって大丈夫ですよ!! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね? (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……!(照)ありがとうございます!ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います!お楽しみに!!☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年4月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。