検索窓
今日:15 hit、昨日:9 hit、合計:285,977 hit

12冊目(微ピンクかも) ページ14

湊の編集者になってから1週間が経った。おかげでいろいろと分かったことがある。
例えば集中すると寝食を忘れること。愛川から聞いていたが、ネタが降ってきたら寝食を忘れて没頭していた。この人絶対倒れてるよ!と心配になったのは言うまでもない。
例えば意外と甘党なこと。小説が一段落すると夕食前だろうが何だろうがお菓子を食べる。本人曰く「頑張ったから相応のごほうびを自分に与えてる」と言われた。ちなみに取り上げるとめちゃくちゃ拗ねる。子供並みに拗ねる。

そんなAでもわからないことはある。例えばそう。今のように、

「あの……九条先生…?」

湊に股ドンされている理由とか。
今日は昼から出版社に出ていた。湊に頼まれた資料が届いたからだ。しかし行くことは湊に言ってあるし、食事も用意しておいた。何か問題があったのだろうか。

「お前……いつ、誰が、俺の側から離れていいって言ったよ」

ぐっと湊の足が上がってくる。その先にあるのはもちろんAの股間だ。

「え、ちょ、九条先生!?」

「お前は、俺のモンだ。勝手にどこか行くことは許さねぇ」

このまま上がってくるとAの足が地面から離れてしまう。

「んんっ、ちょ、待って……!」

やばいやばいやばい!!
湊は足を止める気はないらしい。もうつま先立ちになっていたAの足が離れた。

「ぁ、ん、くじょ、せんせ……!」

圧迫感がすごい。自分の体重が乗っているから余計に。

「分かったか、下僕が」

その言葉を最後に湊は足を下ろす。くたん、とAは床に座り込んだ。何が起きたのか、頭の整理が追い付いていない。

「……ねぇ」

湊は座り込んでいるAと同じ位置になるようしゃがんだ。声音はもう怒っていない。

「今の、この前プロット渡した小説のシーンなんだけど、どう思った?」

この前プロットを渡された小説。御曹司の攻めに翻弄される貧乏人の受けの話だ。
つまり湊は攻めキャラの役をやったということだ。

はぁぁぁ〜……。とAは心の中で盛大なため息を吐いた。せめて何か一言でも言ってくれれば心の準備が出来たのに。

「あの!せめて一言でも……!」

こてん、と首をかしげる湊にAは負けた。何でこの人無駄に顔がいいんだ。

天才作家はやることが違う。この先またこういうお手伝いがあったらどうしよう、とAは頭を悩ませた。

13冊目→←11冊目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (423 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
671人がお気に入り
設定タグ:BL小説家 , 無気力 , 世話焼き , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 有難うございます! (2019年8月17日 12時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 通りすがりの葉っぱさん» ない……ですね。設定してませんでした。私は妄想するとき夢主くんを「涼(りょう)」と呼んでます!自由に付けてくださって大丈夫ですよ!! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの葉っぱ(プロフ) - 主人公の名前って設定無しだと何になりますかね? (2019年8月16日 14時) (レス) id: a112452463 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - アリアさん» そ、そんな……!(照)ありがとうございます!ライバルというか引っ掻き回すというかーって感じなんですけど、その分キュンキュン度をあげていきたいと思います!お楽しみに!!☆ (2019年8月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - えちょっと続編すっごい面白そう...いや、この作者を疑うのは止めよう。絶対面白いよ!凜音の小説も待ってます☆ (2019年8月9日 18時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年4月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。