名雪様リク 浮気? ページ44
最近、Aがソワソワしている。
いつも途中から一緒に帰っていると言うのに、ここ1週間はAに断られて帰ってない。
しかも帰りが遅いときた。何をしているのか聞いてもはぐらかされてしまう。
だから蒼は思ったのだ。これが世にいう、浮気なのでは、と。
いやまさかあのAが、そんなことするわけない!とは思っているものの、気になるものは気になるし、不安にだってなる。それほど好きで、本気だから。
そして、今日。学校も休みの日曜日。蒼は決定的な現場を見てしまった。
それは今度学校で使うものを買った帰りであった。Aは朝から出ていて家にいなかった。外へ行く理由はもちろん教えてもらえず、蒼は少し怒りを感じていた。
人の通りが多い時間。紛れて見えたのは前髪はピンで留めているがメガネをしたままのA。そしてその隣には―――――――知らない男。
友達かな?なんて思っていたがその考えははっきりと消え去った。
いきなり慌てつつ顔を赤らめたA。Aの肩を抱いて町中に消えていった知らない男も笑っていた。
あんな顔、俺の前でも滅多にしないのに。
照れ笑いとは少し違う、自慢とか満足と言ったような顔。
誰だよアイツ。何で俺に秘密にしてるの?言えないことなの?
気持ちがモヤモヤしてぐちゃぐちゃして、泣きたい気持ちになった。同時に、黒い思いも広がった。好きだからこそ感じる、不満。求めすぎると離れていってしまうことだって、分かっているのに。
だから今日、帰ってきたAに冷たい態度を取ってしまったのは仕方ないことだ。
「ただいま。蒼、父さんが今日は早く帰ってくるって」
「そう」
今こんな気持ちで目を合わせられない。きっと酷い顔をしているから。
「……あの、蒼……?怒ってる…?」
「別に」
どうして人間は、怒ってる?と聞かれると「別に」と答えたくなってしまうのか。
普段はどうかしたの?と聞いてくるAは何も聞いてこなかった。つまり、自覚があるということでいいのだろうか。
……やめよう。考えると余計傷つく。
「俺もうご飯食べたから要らない」
こういう時は自室に籠っておいた方がいい。これ以上冷たくしたら本当に戻れない溝ができてしまいそうだ。
バタンと閉じられた扉の音が虚しく響いた。
「どうしよう……バレちゃったかな……」
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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2019年3月5日 23時