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願い 1 ページ2

ピピピ、と目覚ましがなる。触感で目覚ましを止めてボーッとなりつつ目を開けた。

「おはよう人間!今朝はとても良い天気だ。俺たちの出会いの日に素晴らしい!」

目を開けた先には何かがいた。人か?いいや人は浮かない。それに、角が生えている。明らかに人ではないものが、自分の部屋にいて、起きたら何か言い始めた。

普通ならここで思い切り目が覚めて叫ぶか寝巻きで家を飛び出すだろう。
だがAは違った。全く驚かなかった。なぜなら“お迎え”が来たと思ったからだ。病弱な自分はこれで解放される。

ボーッとした状態のまま、手で首の頸動脈の部分に当てる。“お迎え”であるならここも脈打っていないはずだ。
とくん、とくん、とくん、とくん。
動いている。一定のリズムで、今日も生きるために脈打ってしまっている。どうやら“お迎え”ではないらしい。

ではこの浮いている物体は何なのだろう?

「おーい、人間?待ってくれまさか見えてないのか!?この俺が!魔王直属の部下であるイケメンの俺が見えてないのか!?」

信じられない、という顔をして悪魔はAを覗きこんだ。鼻先が当たるんじゃないかと思うくらい近付ける。

綺麗な紅だな……。
吸い込まれそうなくらい透明感のある深紅の瞳。無駄にキラキラと輝いていて、眩しく感じた。

先ほど彼は魔王直属、と言った。ならば死神なのかもしれない。ああ、それならここに来るのも納得だ。

「近い」

「うぉぉ!?喋ったぁぁ!!」

悪魔は驚いて身を引いた。リアクションの大きさにAも驚いた。

悪魔は今まで人間の前に出てきて、こんな無の反応を返した人間に会ったことがなかった。普通はもっと驚くだろうに。
目が開いているのに反応しないから人形なんじゃないかと本気で疑いは始めていたところだった。

「僕の命を取りに来たんでしょう、死神さん」

そう言いながらAは起き上がる。死神はきょとんとした顔をしてAを見た。

「いや?俺は死神でもないしお前の命を取りに来たわけでもないぞ」

「え?」

じゃあ何故ここに、となっていると彼は謎のポーズを取った。

「俺は魔人だ!人は悪魔とも呼ぶよな。お前の願いを1つだけ叶えに来たのだ!」

バッと腕を広げ高笑い。何なんだこいつは、と頭を抱えたくなった。

「俺がお前の願いを叶えてやろう。さあ人間、願いは何だ」

甘ったるく悪魔のような笑顔で彼は聞く。
Aはゴクリと唾を飲み、そして言った。

「願い?……ないかな。ごめんね、力になれなくて。他を当たった方がいいよ」

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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時

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