妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part５ (ページ7)

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第５.６話　彼の名前ページ7

『やっと、ここまでたどり着いたな』

あの声……。
耳から伝わり聞こえてくる声ではなく、頭に響き渡る声。

私が振り返り、スネリともっけが、私の前で身構えた。
目の前には男の人が立っている。

私と同じうず目を持つ彼が、
いつものように黒い犬のカザンをしたがえていた。

「……何故ここに? あなたは一体誰?」

『俺の名前はタイ』

「タ……イ……」

どこかで聞いたことのある名前だった。
何か……どこか懐かしい感じ。

『ここへ来た目的は、君と同じさ』

「じゃぁ、やっぱり悠久の玉を探しているの? どうして……」

タイと名乗った彼は、それには答えずに空を指ししめした。

『そろそろ年が明ける。それと共に、地震が起こるだろう。
上へのぼって、海を見てみな。面白いものが見える』

そういうと、カザンに跨った。
その後、カザンが後脚を強くけりあげ、空へかけていく。

「あの犬……空を飛べるんだ。凄い……」

私が感心していると、もっけが面白くなさそうに言う。

「何が凄いもんか。おいらの方が高く飛べるぞ。ほら、乗れ!」

その時。
ゴ―――……と、地響きが聞こえてきた。

「早く!」

私とスネリがもっけの背中に乗り、もっけは一気に飛び立った。
空から地上を見た私は、一瞬身がすくみそうになる。

もっけの言った通り、四つの玉は小さな四つの島に落ちていったようだ。

その四つの島に囲まれた海の中央が
白く泡だったかと思うと、いきなり大きく波がたった。

巨大だった波は、その内鎮まる。
また、それと同時に黒い影が海上に見えてきた。

その正体は岩で、時がたてば見上げるほどの高い山になった。

「あれは……。そうか! ここは沈んでしまった夜鳴島だったんだ」