妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part５ (ページ37)

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第５.３６話　信じたいページ37

「(タイ兄のレベルの方が勝っているから、これ以上戦っていると……)」

私の心の中の恐怖心が膨れ上がった。

「何故、攻撃しないんだ。逃げてばかりだと、いつかはやられてしまうぞ」

光る矢から、声が聞こえる。

もっけの言う通り、防御もままならない状態だから
もうあと何回避けられるか分からない。

次の瞬間には、心臓を一突きされてもおかしくないのだった。

「A、しっかり……して」

スネリの声も聞こえてきた。
声が震えている。スネリの体力も限界を超えていた。

シュッ!

またもや剣が空を切り、私の脇腹をかすめた。
避けた反動で、私は転んでしまった。

シュッ!

倒れた私の真上から迫りくる剣の攻撃を、
私は転がりながら避け続けた。

私はタイ兄を攻撃出来ずにいた。

それは、私が毒にやられ、気を唸っていた時に都和子先生を通して
流れてきたタイ兄の記憶を知ってしまったからだった。

「スネリ、もっけ。私はタイ兄がつらい思いをしている間、
学校で幸せだった。妹なのに、何も知らずに助けてやれず。

責めて、タイ兄の中の邪気を払えば……そうすれば、
タイ兄はきっと……タイ兄の事を信じたいの」

私はそう言うと、仰向けに横たわったまま、目を閉じた。

胸のペンダントを透かすように掲げた途端、
スネリの言っていた言葉がよみがえってくる。

『内なる言葉に耳を澄ませて』

その瞬間、私の内側からわきあがった言葉があった。
知らず知らずの内に、それを唱えていた。

「犀星、熒惑星、太白星、辰星の五帝、我を助け、汚れを払い清めたまえ」

すると、ペンダントが白い霧に覆われ
それが消えた時、後には白木で出来た弓があらわれていた。