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第5.26話 悠久の玉 〜現れ〜 ページ27

「タイ!」


都和子先生は私を抱いて立ちあがった。


「夜鳴島か! 早くおいらに乗って!」


もっけは大きく変化し、私を抱いた都和子先生とスネリを乗せた。
夜空の雲は怪しくたれこめ、風は強く、雪は激しさを増している。

海は波しぶきをあげて荒れ狂い、まるでこの世の果ての様子。
もっけは飛び立ちはしたものの、強風にあおられて負けそうだった。


何度か落ちそうになりながらも、
ようやく夜鳴島の二剣山の谷間に降り立った時は、もっけの体力は衰弱。

そのまま倒れてしまった。
弱った体に、再び毒がまわってきたのだ。


スネリがすぐさま、もっけの額に肉球を押しあてるが、
スネリの息もたえだえだった。

都和子先生は私を抱き、はうようにして岩を登った。
見渡す限り黒い岩石ばかり。草木も生えない、地獄のような所。

頂きに着いた都和子先生が目にしたもの……それは平たい石板だった。


西の島にあった石板より、一段と立派なもので
鏡のように黒光りしていた。

石板の上には、黄色に輝く「土」の玉が祭られていた。
そして、その石板を前にして、タイ兄が居た。

タイ兄は都和子先生を見ると、『来るな!』と叫び、


『俺に近付けないように結界を張ってやる。
青龍、白虎、朱雀、玄武、空陳、南斗、北斗、三台、玉女』


九字を唱え、印を結んだ。
その後すぐに口の中で何やら唱えると、再び地鳴りがしてきた。

二剣山がふたつに割かれるかのように。ぐらぐら揺れる。


都和子先生は、私をしっかり抱きかかえて岩にしがみついた。
すると、谷間から溶岩のように赤々と燃えた玉が上昇してくる。

赤い玉はぐんぐん宙を登り、やがて頂きに来ると、石板の上で止まり。
「土」の玉が消え、かわりに赤い玉がおさまった。


「あの赤い玉は……」


その声に都和子先生が振り向くと、もっけを背中に乗せ、
登ってきたスネリがいた。不安そうに都和子先生を見上げる。


「悠久の玉よ」

第5.27話 結界の中へ→←第5.25話 悪しき妖怪


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年12月8日 21時

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