妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part５ (ページ22)

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第５.２１話　『土』の玉ページ22

「命を賭けてまで私達を倒そうとした事はとても恐ろしかったけれど。
でも、カザンがタイ兄の為に戦う姿に、スネリやもっけの姿を
重ねて見たから……どうしても、憎めないのです」

『やめろ!!』

しかし、タイ兄には何もする事が出来なかった。
カザンは目を開けると、低く唸って頭をもたげた。

その瞳は黒く澄んでいる。

私は頷くと、「さようなら、カザン」と言い
ペンダントをカザンに向け、カザンは妖界への穴に吸い込まれていった。

私はそれを見届けると、意識を失い、倒れた。

いつの間にか、雪が舞い始めている。
この地方では滅多に降る事のない雪。

薄っすらと白く積った雪の上に、私は倒れてしまったのだ。
妖界への入り口は閉じた。そして、

ことり……

黄色に輝く玉が転がっていた。

タイ兄はそれに気がつくと、駆け寄って、
膝まづいたまま身じろぎもせず、黄色い玉を見続けている。

「『土』の玉ね」

その声に、タイ兄が驚いて振り返る。
そこには意識を取り戻した都和子先生が立っていた。

都和子先生が黄色い玉を拾い上げる。

「カザンが『土』を持っていたのね」

『何故、カザンが……貴方は知っていたんだな』

「いいえ。私が知っているのは、貴方が
レンメイの息子で、Aの双子の兄という事だけよ」

『黙れ!』

タイ兄は手袋を脱ぐと、右手のひらを都和子先生にむけて差し出した。
そこには、第3の目があり、気味悪く都和子先生を睨んでいる。

「タイ!」

都和子先生が叫んだ途端、見えない力で後方へ飛ばされ
岩に背中を打ちつけた。

『貴方は何をしにきたんだ。
俺の邪魔をするなら、生かしておく訳にはいかない』

都和子先生にじわりと近付く。

『しかし悪いが、俺の勝利だ。『土』の玉が手に入ったのだから。
これからこれを、夜鳴島の祭壇に祭れば……』

そう言いかけて、はっとしたように止めた。