妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part５ (ページ23)

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第５.２２話　目覚めない私ページ23

都和子先生はふらつきながら起き上って言った。

「貴方がどんなに身体能力が高くても、カザンをなくしては
夜鳴島に跳ぶのは無理でしょう。もっけなら行けるでしょうけれど」

タイ兄は都和子先生の元に歩み寄る。

『もっけの毒を抜けと言うのか』

「えぇ。でももっけは、貴方の言うことなど
聞かないでしょうね。Aやスネリも無事でないと」

『チッ……三人の毒を完全に消すのは無理だ』

「私が手伝うわ。責めて、
全身に毒がまわってしまう時間を少しでも延ばせれば」

そう言った都和子先生の顔を、タイ兄は驚いたように見た。

「妖力を全く持たないのにと思っているのね。
誰かの妖力を増幅させる事なら出来ると聞いたわ。
まだ試した事がないし、それも何度でも出来る訳じゃないけれど」

そう言うと、タイ兄の右手に自分の手を重ねた。
そして、重ねた手を倒れている三人の胸に近付ける。

都和子先生は祈るように目を閉じ
タイ兄は眉間に縦じわを寄せて、「ふっ」と気を飛ばした。

その途端、もっけの羽がびくんと動き、まぶたを開ける。
スネリの前脚も動き、体を起こそうとしていた。

しかし、暫くしても私は目覚める気配がない。
都和子先生の額に汗が噴き出て、タイの右手はふるふると震えた。

『無理だ』

そういうと、あっさり右手を下ろしてしまった。

『もうこれ以上、妖力を使う事は出来ない。
さぁ、もっけ。俺を乗せて飛んでくれ』

もっけは動こうとしない。
私の顔を見つめたまま言う。

「Aはまだ生きているんだ。このまま見殺しにして、
何であんたを背中に乗せなくちゃいけないんだ」

『助けてやったのに……恩知らずな奴だな。わかった。お前になど頼まない』

「どうするつもりなの」

『貴方が乗っていた船があったはずだ。
まだその辺りを漂っているだろう。それに乗る』