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第5話 大晦日の雪 ページ1

私、もっけ、スネリの三人が晩秋に風の町を出てから二ヶ月近く。

今日は大晦日。ここ、北の町では、今年七回目の雪が降った。
その景色は、もちろんすごく綺麗だ。


私達三人が借りた『たつぼしハイツ』は、小さな商店街の一角にあり
となりはラーメン屋。大晦日でも営業しているようで、

窓を開ければ匂いが漂ってくる。


「さ……寒っ」


……が、私はすぐに窓を閉めた。


「A、今日ちょっとしたおせち料理を作らない? 明日はお正月よ」


スネリが紙袋から、買ってきた野菜やお餅をテーブルに並べた。
もっけはもっそり、こたつから顔だけ出すと言った。


「寒いから、おいらは寝てるよ。それよりさ、もう二ヶ月になる
っていうのに、何の手がかりもないなんて困ったな」


もっけの言う通り、浮かれている場合ではない。

風の町を出てみたものの、未だにスネリの鼻は
妖怪の気配をキャッチできない。


『玉は後一つ。最後の玉が見つかった時、悠久の玉の行方がわかるだろう』


風の町で出会った人……。
私と同じうず目を持つ男の人は、そう言って立ち去った。


「あと一つの玉が、どこにあるかわからない……なんて」


スネリもうなだれる。


「こっちの世界に来てから、私の鼻の効きが悪くなったみたいなの」


北の町に来たのは、私の「雪が見たい」という事から。

しばらくここに居れば、その内スネリの鼻が元のように
妖力を発揮するかもしれない。

しかし、二ヶ月……とんとその気配がない。


「いつまでもこうしちゃ居られないわね」


スネリが冷蔵庫に食材を入れながら、そう呟いた。


「…………」


その時のAは、あの時……風の町に居た時の
あの表情と同じ。そして何も話さなかった。

それにつられて、スネリやもっけも不安そうな顔をする。

この時のAは、何を考えているのかわからない。
悲しそうな表情をするので、「どうしたのか」とも聞きにくい。


でも、スネリには一つ、思い当たる事があった。

湖に居た時。スネリがAに、もっけについて言った途端
涙を流したのだ。それは、きっとAが……。


「…………」


スネリは、もっけとAを交互に見た後、俯いた。
Aとはまたほんの少し、違った表情で。

第5.1話 特訓中の不思議な話→


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年12月8日 21時

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