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第5.38話 兄を妖界へ 祝160個目 ページ39

『俺は……諦め……ない』

「タイ兄……」


苦しいのはタイ兄の筈なのに、私は胸が痛くなる。
その時、かすかなもっけの声がした。


「……A、まだ息のある内に……、タイを妖界へ帰してやれ
……そして、他の妖怪達も二度と出てこられぬように、
封印するんだ。悠久の玉を使って……」

「A、最後の力を振り絞るのよ。Aなら出来……る……」


スネリの声も消えていった。
二人は、そこで息絶えたのだった。

私はその事を知らずに、両手をついて、やっとの事で立ちあがった。


二人の手から離された悠久の玉は、既に地面に落ちている。
私は玉を拾い、タイ兄の胸に刺さった矢を抜き取ろうとした。

しかし、矢は念が消えてもっけの羽とスネリの毛に戻っていた。


私はスネリともっけ、二人の事や矢の事を深く考えられなかった。
タイ兄を息ある内に、妖界へ行かせる事で精一杯だった。

悠久の玉を石板に戻すと、両手で、九通りの印を結んだ。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」


ペンダントを掲げると、上空の渦巻く空に
割れ目が見え、妖界への道が出来た。


「タイ兄、邪気を払い清めます。どうか妖界で生きて
……生き延びて、そして幸せになって下さい」


倒れたタイ兄の顔から邪気が消え、
まるで天使のような顔になるのを見て、私は胸が熱くなる。


「タイ……私の兄……」


こみあげてくる物を堪えると、ふらつく足取りでステップを踏んだ。


「天蓬、天内、天衝、天輔、天禽、天心、天柱、天任、天英」


妖界への裂け目が閉じ、タイ兄が吸い込まれていった。
その時、タイ兄の体から何かが、コトリと音をたてて落ちた。

木箱だった。私の持っている物と同じ。
ふたが開いて、中から巻物が出てきた。


これも、私の持っている巻物と同じようだった。

私はジャケットのポケットに入れた
自分の木箱を取りだすと、巻物を広げた。

第5.39話 2つの木箱と巻物→←第5.37話 君が流した涙


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年12月8日 21時

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