妖界ナビ・ルナ～私は伝説の子～part５ (ページ33)

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第５.３２話　2度と言わないで！　ページ33

『道具……スネリともっけの事だ。アンタのしているペンダントを
運んできた道具だと言ったんだ。ここまで来るのに少しは役にたったようだが』

「そんな風に思っていたの?
まさか……タイ兄にとって、カザンも同じように」

『あぁ、そうだ。しかし……カザンも馬鹿だったな。
自らの毒にやられ、妖界へ帰されてしまったんだ。
でも、最後に『土』の玉を残したから、少しは役に』

パンッ!

タイ兄が最後まで言い終わらないうちに、
その左頬を私が叩いた。

『何を』

「許せない。もっけやスネリを道具だなんて。
貴方に使命を尽くそうとしたカザンをも! 二度と言わないで!」

『お前に何がわかる』

タイ兄は私を睨みつけると、右手に念をこめた。

バシッ! バシッ! バシッ!

自分の体が四方八方に飛ばされ、岩にぶつかった。

「やめて!!」

スネリの悲鳴が聞こえた。

もっけが羽に力を入れて飛び立とうとしたけど、
地上から三十センチも離れることが出来ない。

「A、何で抵抗しないんだよ!!」

私が血だらけで横たわっているのを見て、
タイ兄はようやく気がすんだように右手を下げた。

『悠久の玉を扱うのに死なれたら困るな。
もう俺を怒らせるのは止めろ。妖力も時間も勿体ないし』

そう言うと、倒れた私の腕を持ち上げ、
悠久の玉にその手を触れさせた。

すると、悠久の玉が宙に浮いたまま動きを止めた。

スネリともっけは、朦朧とする意識の中で
その光景を息をつめて見つめた。

その時、私が目を閉じたまま呟く。

「タ……イ兄……皆で、妖界へ……行きましょう」