後輩の宇髄くんが生意気すぎる件について。

7、 ページ8

.


『…………最悪だ』


よりによって一夜限りの相手と過ごした場所に
個人情報満載の物を置いてきてしまった可能性が高い。



さて、どうする。
ホテルに電話するか？…いや恥ずかしすぎる。


確認しに……？
いやいや、遅すぎる。
今ごろ違う男女がお戯れになっているに違いない。





まだ変えてそれほど経っていないが、仕方ない。

講義が終わったらすぐスマホのショップに行こう。
そこで機種変でも何でもしてもらおう。そうしよう。





.




とりあえず講義を受けなければ…
なんて思っていたその時だった。





ふわっと漂ってくるムスクの香り。
あらいい匂い、
なんて一瞬呑気なことを思った自分を殴りたい。




｢派手に探してるの、これだろ？｣




なんだか聞き覚えのあるような声に振り向く。




すると、今度こそ私の思考は完全にショートした。



｢忘れ物っすよ？先輩。｣


あ、ちなみに俺も“学生”だからね？


なんてへらへらとしている昨日の彼。




近付かれた時にふと感じた既視感。
そうだ、何故分からなかったのか。
この前同じ学部の子が騒いでいたじゃないか。



めちゃくちゃイケメンで、背も高くて、
モテまくっている話題の3年生。



名を“宇髄天元”







.






ああ、なんてこった。






私は、

とんでもない相手と一夜を過ごしてしまったらしい。






.

7.5、→←6、

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す