後輩の宇髄くんが生意気すぎる件について。

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後ろにいたはずの彼はいつのまにか私の前にいて。



私はこの前と同じように背中が壁にくっついていて。
顔の両側には当然、
“逃がすまい”とした彼の腕。



前回は目の前にいるこの人はなんだか余裕のなさそうな顔をしていた。





だが今は。



「なぁA、お前俺の事好きっしょ？｣



と、この上なく色気を纏った笑みを浮かべながら言う。






『……うるさい、』

私の中に“羞恥”というものはちゃんとあったらしく、
わずかな反抗をするので精一杯。



「ほんと、素直じゃねえのな」



その言葉を皮切りに私の唇が奪われる。

正気を保っていられなくなるようなそれに、
私の今まで無駄に多く積んできた経験値はなんだったのか、と言いたくなる。








唇が離され
じっ、 と目線を合わせられる。





「…言えよ。」


たった3文字。

それだけで私の“見栄”とか“意地”というのは
いとも簡単に崩されてしまった。







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『……すき、』


きっと聞き返したくなるような声の小ささだったと思う。
けど、たったの数センチ先にいる彼にはちゃんと聞こえたようで。







「……ほんと、可愛すぎ」




俺も好きだぜ？A。
と私の名前を呼んだ直後

こんなもんじゃ全然足りねえ、と言わんばかりの
激しく、それでいてとてつもなく甘い口付けが降り注いだのだった。








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後輩の宇髄くんが生意気すぎる件について。 [完]

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