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玖拾陸 ページ2

「…………、」





『少し落ち着きましたか?』





村とは少し離れた森の中の石の上に腰をかけて話す





「どうして……………、?私はあんなにも貴女に酷いことを言ったのに………………


どうして、」






『貴女が泣いていたから、私は人を助ける仕事なんです

泣いている人が居れば、助けたいと思うでしょう………?

それでも私も人だから、鬼にはなれないから



道を間違うことも、助けられない命もあります



あの女の人を救えなくて本当にごめんなさい………、』




頭を下げながら話し、頭を上げるとまた目の前の女の人は泣いていた




「………………違うのよ…仕方なかったのよ……





貴女は隊士を守りながら戦っていて、隊士から目を背いたら多分全滅だったわ、




それでも、仕方ないと分かっていても………

……私はっ、あの子に生きて欲しかった」




相手が亡くなったから好きと言えない彼女と



自分が7日で死んでしまうから好きと言えない私








『……どんなに苦しくても辛くても投げ出したくても

あの女の人は貴女に今すぐ死んでこちらに来て

なんて言うでしょうか…………。




死にたい程悔やんで悔やんで、前を向いて進むことこそ

あの人を愛していた、そう言えるんじゃないですか…………?

自分の考えで申し訳ないですけど………


あの人が自分を犠牲にしてでも守った子供達のように、

貴女にも生きて欲しいと思ってるんじゃないですか?

あの人が遺した子供たちを貴女が愛してあげたらどうでしょうか……』




女の人は何かを考えるように顔を手で覆った



ーーーーーー
ーー

あの日、私達は泊まりに行ったあの子の子供を2人で探していた


上から降ってくる血の雨や動物の残骸


私はそれに怯えていた


でも彼女はずっと子供達が見つからないことに怯えていた


見つけた子供達を前にして、彼女は難しい顔をして私に言った




「……………子供達と貴女を残すのは少し心が痛むけれど…………



あの子達を愛してあげて、



それとね…………




………私は貴女を愛しているわ」




困惑していたら私の手から彼女の温もりが消えた




どんなに手を伸ばしても足が動かなくて



彼女を覆う段々と大きくなる影をただ見ていることしか出来なかった







綺麗な赤い花が彼女の身体に咲いた




地面に広がる赤い血



動かない彼女







あぁ……死んでしまうのなら



私も愛しているわ、そう…伝えれば良かった……………

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(プロフ) - 感動しました…!ちょっと、泣いちゃいました笑 (8月13日 23時) (レス) id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
karion(プロフ) - 自分は飽き性なので最後まで読む事は滅多に無いのですが、久しぶりに最後まで飽きずに読めました!とても面白くそしてとても感動しました..めちゃくちゃ泣きました‼︎素敵な作品をありがとうございます‼︎‼︎ (5月16日 22時) (レス) @page50 id: d59aca9a13 (このIDを非表示/違反報告)
りおん(プロフ) - 本当にずっと涙が止まりません…何回でも何百回でもこの作品をこの1人の少女の人生を必ずみにきますね!!!この作品を作ってくれてありがとうございました!!! (2022年8月12日 6時) (レス) id: db88a71968 (このIDを非表示/違反報告)
アマリス(プロフ) - しのぶさん、本当最低だな。無一郎の奴も、主人公と和解すんな!!お前らにはその権利はねぇんだよ💢と思います。夢主さんは、すぐに記憶無くなったらすぐに鬼殺隊辞めるべきだったんですよ!!私は和解ENDなんて認めません!! (2022年5月23日 21時) (レス) @page46 id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりんちゃん - 素晴らしい作品に出会いました、この世にこの作品を生み出してくれて本当にありがとうございます。記憶がなくなる感情とか辛さとか引き込まれる文章ばかりで涙が止まりません。今から読み返します。 (2021年5月7日 1時) (レス) id: a2bdeb07de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やきべん。 | 作者ホームページ:やきべんたまらん  
作成日時:2020年5月18日 12時

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